icon fsr

文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科95巻3号

2023年03月発行

文献概要

原著

重粒子線治療後の鼻腔腺様囊胞癌の局所再発例

著者: 橘智靖1 和仁洋治2 小松原靖聡1 黒田一範1 假谷彰文1 直井勇人3 安藤瑞生3

所属機関: 1姫路赤十字病院耳鼻咽喉科 2姫路赤十字病院臨床検査科 3岡山大学学術研究院医歯薬学域耳鼻咽喉・頭頸部外科学

ページ範囲:P.249 - P.253

文献購入ページに移動
はじめに

 頭頸部腺様囊胞癌は切除可能と判断された場合,標準的治療は外科的切除および術後放射線照射と考えられている1)。しかし,頭頸部腫瘍の治療においては,機能や整容性の温存も重要な治療決定の要素となる2)。本邦では,2003年より頭頸部悪性腫瘍に対して高度先進医療および先進医療として行われてきた重粒子線治療が2018年4月より保険収載され,頭頸部腺様囊胞癌においても治療の選択肢の1つとなった2)。頭頸部領域の腺様囊胞癌に対する重粒子線治療の成績は近年報告されつつあるが,長期的に経過をみた報告は少ない3,4)。今回われわれは,鼻腔腺様囊胞癌に対して重粒子線治療後,10年以上経過して局所再発を認めた症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する。

参考文献

1)Coca-Pelaz A, et al:Adenoid cystic carcinoma of the head and neck—an update. Oral Oncol 51:652-661, 2015
2)小藤昌志:医学・医療のトピックス 頭頸部がんに対する放射線治療の現状と展望.頭頸部腫瘍に対する重粒子線治療—先進医療から保険医療へ.日耳鼻122:93-98,2019
3)小藤昌志・他:肉腫を除く頭頸部悪性腫瘍に対する重粒子線治療の多施設共同後向き観察研究(J-CROS 1402 HN).頭頸部癌43:362-366,2017
4)Shirai K, et al:Prospective observational study of carbon-ion radiotherapy for non-squamous cell carcinoma of the head and neck. Cancer Sci 108:2039-2044, 2017
5)武者 篤・他:群馬大学における頭頸部非扁平上皮癌に対する重粒子線治療.頭頸部癌47:53-58,2021
6)田浦政彦・他:頭頸部腺様囊胞癌症例の臨床的検討.頭頸部外24:75-81,2014
7)van Weert S, et al:Adenoid cystic carcinoma of the head and neck:a single-center analysis of 105 consecutive cases over a 30-year period. Oral Oncol 49:824-829, 2013
8)若崎高裕・他:治療に難渋した頭頸部領域における重粒子線治療後の救済手術.耳鼻67:44-47,2021
9)徳永俊照・他:Ⅰ期肺腺癌に対する重粒子線治療後局所再発症例にサルベージ手術を施行した1例.日呼外会誌26:620-624,2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?