icon fsr

文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科95巻3号

2023年03月発行

文献概要

原著

中耳奇形手術の長期経過後に乳突部に充満する側頭骨真珠腫を認めた症例

著者: 石渡大貴1 伊藤健1

所属機関: 1帝京大学医学部附属病院耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.255 - P.259

文献購入ページに移動
はじめに

 中耳真珠腫は術後再発をきたしやすい疾患であるが,真珠腫に対するものではない中耳手術後に真珠腫が認められる場合がある。病因としては初回手術の影響による後天的なもの1,2)が考えやすい。

 われわれは,中耳奇形の術後17年が経過してから大きな側頭骨真珠腫を認めた症例を経験した。本症例については上記以外に先天性真珠腫が当初から合併していた可能性3〜7)もあって興味深いため,これを報告し,病因などについての考察を加える。

参考文献

1)暁 清文・他:術後性乳突腔真珠腫の2症例.耳鼻臨床85:379-383,1992
2)Ungar OJ, et al:Iatrogenic cholesteatoma originating from a misplaced tympanomeatal flap during tympanoplasty:a series of five patients. Eur Arch Oto rhino laryngol 277:3295-3299, 2020
3)後藤隆史・他:耳小骨奇形を伴った乳突洞限局性先天性真珠腫の一例.Otol Jpn 24:34-38,2014
4)牧 清人・他:先天性真珠腫を合併した中耳奇形の一症例.臨耳14:338-339,1987
5)岩城詠子・他:先天性中耳真珠腫を合併した稀な先天性耳小骨奇形の一例.Otol Jpn 1:49-53,1991
6)小島千絵・他:内耳奇形を合併した先天性真珠腫症例.耳展41:584-590,1998
7)Peron DL, et al:Congenital cholesteatomata with other anomalies. Arch Otolaryngol 101:498-505, 1975
8)奥田 匠・他:経過中に鼓膜穿孔を生じた先天性真珠腫と考えられた3例—二次性真珠腫との鑑別について.Otol Jpn 26:674-680,2016
9)植田広海・他:小児期における先天性真珠腫増加要因の検討.Otol Jpn 24:755-759,2014
10)日高浩史・他:先天性真珠腫の発生部位の国際的地域差について—当科新旧2統計間の比較とシステマテックレビューから.小児耳35:243-251,2014
11)谷口雄一郎・他:先天性真珠腫に対する進展度分類の検討.耳展58:145-152,2015
12)東野哲也・他;日本耳科学会用語委員会:中耳真珠腫進展度分類2015改定案.Otol Jpn 25:845-850,2015
13)菊地正弘・他:先天性中耳真珠腫60例の臨床的検討.日耳鼻106:797-807,2003
14)小島博己・他:先天性中耳真珠腫48例の検討—手術所見を中心として.日耳鼻106:856-865,2003
15)Cohen D, et al:Locations of primary cholesteatoma. Am J Otol 8:61-65, 1987

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?