文献詳細
原著
浸潤型真菌症や悪性腫瘍との鑑別を要した上顎洞原発多発血管炎性肉芽腫症症例
著者: 沖中洋介1 菅原一真1 藤井博則1 橋本誠1 木村相泰2 山下裕司1
所属機関: 1山口大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科学 2山口大学大学院医学系研究科分子病理学
ページ範囲:P.279 - P.284
文献概要
多発血管炎性肉芽腫症(granulomatosis with polyangiitis:GPA)は,以前はWegener肉芽腫症と呼ばれており,Wegener1)が1936年に上・下気道の壊死性肉芽腫性病変・全身の血管炎・壊死性腎炎を3徴とする原因不明の全身性疾患を報告したことから始まっている。初発症状として鼻症状を呈する者は多く,鼻腔内痂皮形成・鼻中隔穿孔・鞍鼻などを認めた場合は本疾患を鑑別に挙げるべきであることはすでによく知られているが,鼻腔所見に明らかな病変がない副鼻腔原発の症例報告は少ない2)。
今回われわれは,上顎洞周囲の骨破壊を伴い,浸潤型真菌症や悪性腫瘍との鑑別を要したGPAの症例を経験したので報告する。
参考文献
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