耳鼻咽喉科・頭頸部外科95巻7号

2023年06月発行

原著

鼻前庭囊胞様所見を呈した静脈奇形例

著者： 橘智靖¹ 佐々木智章² 和仁洋治³ 假谷彰文¹ 直井勇人⁴ 安藤瑞生⁴

所属機関： ¹姫路赤十字病院耳鼻咽喉科 ²国立がん研究センター東病院放射線診断科 ³姫路赤十字病院臨床検査科 ⁴岡山大学学術研究院医歯薬学域耳鼻咽喉・頭頸部外科学

ページ範囲：P.563 - P.566

文献概要

はじめに

　The International Society for the Study of Vascular Anomalies分類（ISSVA分類）において，脈管異常は脈管性腫瘍と脈管奇形に大別される^1）。脈管奇形はさらに単純型，混合型，主幹型，および関連症候群に分類され，静脈奇形は単純型に含まれる^2）。鼻副鼻腔領域における静脈奇形は鼻腔内に病変が露出し，出血を契機に発見されることが多く，病変が皮下に存在し鼻前庭囊胞様所見を呈することは稀である^3）。今回われわれは，鼻前庭囊胞様所見を呈した静脈奇形例を経験したので，若干の文献的考察を加えて報告する。

参考文献

1）Wassef M, et al：Vascular anomalies classification：recommendations from the International Society for the Study of Vascular Anomalies. Pediatrics 136：e203-e214, 2015

2）平成26—28年度厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業（難治性疾患政策研究事業）「難治性血管腫・血管奇形・リンパ管腫・リンパ管腫症および関連疾患についての調査研究」班：血管腫・血管奇形・リンパ管奇形　診療ガイドライン2017　https://fb64b181-5dde-4de0-a3a2-f61925a989e2.filesusr.com/ugd/2a62b2_9e7d7fcffa394182b278e2afd782b764.pdf

3）島村歩美・他：当科における鼻副鼻腔血管性腫瘍及び血管奇形（いわゆる血管腫）の検討．日鼻誌56：639-645，2017

4）土屋幸造・他：鼻前庭囊胞21症例の検討—両側にみられる稀な症例を中心として．耳鼻34（補1）：191-195，1988

5）Wahba M, et al：Nasolabial cyst. Reference article, Radiopaedia.org（Accessed on 11 Apr 2023）　https://doi.org/10.53347/rID-6837

6）箕輪和行・他：頭頸部海綿状血管腫のMRI診断．日口腔外会誌37：1802-1809，1991

7）飯村慈朗・他：鼻前庭囊胞及び顔裂囊胞に対する内視鏡下鼻内手術法の検討．耳展44：113-119，2001

8）松井秀仁・他：反復する鼻出血にて診断された静脈奇形の1例．耳展62：216-221，2019

9）村下秀和・他：鼻前庭内血管平滑筋脂肪腫の1例．耳展48：182-185，2005

10）中村陽祐・他：鼻腔血管筋脂肪腫例．耳鼻臨床105：1155-1159，2012

11）山本一宏・他：鼻前庭囊胞との鑑別を要した孤立性線維性腫瘍の1例．耳喉頭頸82：277-280，2010