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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科95巻8号

2023年07月発行

文献概要

Review Article

加齢性難聴と補聴器を取り巻く諸問題

著者: 小川郁12

所属機関: 1オトクリニック東京 2慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科学教室

ページ範囲:P.644 - P.652

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Summary

●加齢性難聴は言語機能および思考,情動などの精神活動にも深く関わっている。

●難聴は認知症の危険因子であり,難聴への介入は認知症の予防法として最も有効である。

●加齢性難聴の治療法や進行の予防法はいまだなく,現時点では補聴器による介入が主である。

●コロナ禍による高齢者の「コロナフレイル」が社会的懸念となっており,高齢者の社会活動の活発化に加えて,難聴対策が喫緊の課題となっている。

●日本では補聴器が適切に普及しているとは言いがたい。

●今後,高齢者の聴覚検診の整備,および補聴器購入に際しての公的補助制度や補聴器供給システムの改善など,難聴対策が進むことを期待したい。

参考文献

1)山岨達也:内耳疾患の治療をめざして−基礎研究の最前線.加齢による内耳変性—老人性難聴の予防に向けて.日耳鼻112:414-421,2009
2)伊藤 健:加齢と聴覚—有毛細胞から認知機能まで.Audiology Japan 62:125-133,2019
3)太田有美:加齢性難聴の病態と対処法.日老医誌57:397-404,2020
4)内田育恵:耳鼻咽喉科としての認知症への対応—聴覚障害.日耳鼻123:333-338,2020
5)内田育恵:認知予備能仮説と聴力.Audiology Japan 64:155-162,2021
6)内田育恵:コロナ禍の難聴対策—認知症リスク低減を目指して.鼻アレルギーフロンテ21:40-45,2021
7)小川 郁:認知症と加齢性難聴—認知症予防対策における補聴器の役割.Audiology Japan 64:37-44,2021
8)小川 郁:わが国の補聴器購入助成制度とその問題点.日医雑誌151:1970-1971,2023

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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