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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科95巻9号

2023年08月発行

文献概要

原著

副耳下腺腫瘍切除後の頰部皮膚欠損に対するDufourmentel皮弁による再建

著者: 西平茂樹1 三原国昭1 中津若菜1 西平宗功2 田中俊彦3

所属機関: 1JA秋田厚生連雄勝中央病院耳鼻咽喉科 2JA秋田厚生連雄勝中央病院歯科口腔外科 3あきた睡眠クリニック

ページ範囲:P.767 - P.771

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はじめに

 耳下腺腫瘍の発生率は頭頸部腫瘍全体の約4%で,人口10万人中に2人程度といわれる1)。副耳下腺腫瘍の発生率は耳下腺腫瘍の1〜7.7%2,3)であり,臨床の場で遭遇する機会はさらに少ない。今回,49年前に局所麻酔下に右側頰部腫瘍摘出術を受け,数年後には再発を自覚したが,悪性腫瘍ではないと告知されていたため放置していた男性に対し手術する機会を得た。手術では,初回の手術瘢痕と周囲皮膚を併せて切除したことから,頰部中央に40×50mm大の皮膚欠損が生じた。局所回転皮弁のDufourmentel皮弁4)(以下,D皮弁)を利用して即時再建した。術中所見と摘出標本の病理診断から,腫瘍は副耳下腺多形腺腫の再発と確定された。以下に症例を報告し,本邦の副耳下腺腫瘍再発症例に関して得られた若干の知見をまとめる。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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