耳鼻咽喉科・頭頸部外科96巻1号

2024年01月発行

特集 伝音難聴を克服する 一歩進んだ診断と手術・人工聴覚器の適応の見極め

《手術適応の見極め》

鼓膜穿孔への手術適応と課題

著者： 綾仁悠介¹ 萩森伸一¹

所属機関： ¹大阪医科薬科大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科

ページ範囲：P.32 - P.36

文献概要

POINT

●症状に乏しい鼓膜穿孔であっても，聴力予後の点から早期に穿孔閉鎖を図るのがよい^1）。

●経外耳道的内視鏡下手術（transcanal endoscopic ear surgery：TEES）やトラフェルミン（遺伝子組換え）製剤（リティンパ^®）を用いた鼓膜穿孔閉鎖術など，新しい手術法により治療の選択肢が増加している。

●鼓膜穿孔の状態，併存病態，患者背景を考慮し，症例ごとに最適な術式を選択することが大切である。

参考文献

1）萩森伸一：鼓膜形成術．日耳鼻121：656-663，2018

2）Sakagami M, et al：Long-term observation on hearing change in patients with chronic otitis media. Auris Nasus Larynx 27：117-120, 2000

3）Colletti V, et al：Surgery vs. natural course of chronic otitis media. Long-term hearing evaluation. Acta Otolaryngol 111：762-768, 1991

4）森山 寛・他：慢性穿孔性中耳炎における耳小骨可動障害例の検討．耳展35：37-43，1992

5）萩森伸一：耳科手術に役立つヒト側頭骨組織解剖の知識．耳展64：268-277，2021

6）欠畑誠治：鼓膜穿孔閉鎖術と鼓膜形成術—最近の進歩．日耳鼻115：564-565，2012