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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科96巻8号

2024年07月発行

特集 必携! 唾液腺診療 虎の巻

《非腫瘍性疾患の診断と治療》

ムンプス(流行性耳下腺炎)

著者: 安達のどか1

所属機関: 1埼玉県立小児医療センター耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.604 - P.607

文献概要

POINT

●ほとんどが小児期に罹患し,一般的に小児の耳下腺が腫脹するとまず“おたふくかぜ”(本疾患)を疑うが,反復する場合は反復性耳下腺炎であることが多い。

●多岐にわたる合併症のなかに高度〜重度難聴(1000人に1人)のリスクがあり,難聴治療効果が見込めないことが多い。

●稀に咽喉頭浮腫(laryngopharyngeal edema)を合併するケースがあり,診察時の鑑別疾患として重要である。

●ムンプスの予防接種は一定の副反応があるものの推奨される(2023年全国調査による)。本邦は過去の合併症により任意接種となるが,先進国のなかでは唯一であり本来であれば定期接種とすべきである。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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