耳鼻咽喉科・頭頸部外科96巻8号

2024年07月発行

特集 必携！ 唾液腺診療 虎の巻

《唾液腺腫瘍の手術》

顔面神経鞘腫

著者： 下田光¹

所属機関： ¹神戸大学大学院医学研究科外科系講座耳鼻咽喉科頭頸部外科学分野

ページ範囲：P.664 - P.667

文献概要

POINT

●耳下腺内顔面神経鞘腫の手術は顔面神経麻痺をきたした症例に考慮される。

●画像所見では茎乳突孔へ連続し，MRI T2強調画像では腫瘍内部は矢の的のように見えるtarget signが特徴的である。

●ループ型神経移植を要する場合，術後の顔面神経の回復が乏しい可能性がある。

●側頭骨内進展例では顔面神経減荷術を実施しておくことで腫瘍の増大による顔面神経麻痺の発症を回避できる可能性がある。

参考文献

1）Fyrmpas G, et al：Intraparotid facial nerve schwannoma：management options. Eur Arch Otorhinolaryngol 265：699-703, 2008

2）McCarthy WA, et al：Intraparotid schwannoma. Arch Pathol Lab Med 138：982-985, 2014

3）村上信五・他：耳下腺多形腺腫の診断にて手術を施行し，術中に顔面神経鞘腫と判明した症例．Facial Nerv Res 31：112-114，2011

4）村上信五・他：側頭骨内顔面神経鞘腫のマネージメント．Facial Nerv Res 29：5-7，2009

5）池田耕士・他：耳下腺内顔面神経鞘腫の画像所見．耳展63：247-249，2020

6）Shimizu K, et al：Intraparotid facial nerve schwannoma：a report of five cases and an analysis of MR imaging results. AJNR Am J Neuroradiol 26：1328-1330, 2005

7）嶋根俊和・他：耳下腺内顔面神経鞘腫手術における神経脱落症状発生のリスク因子の検討．口咽科35：7-13，2022