耳鼻咽喉科・頭頸部外科96巻8号

2024年07月発行

原著

舌に発生した神経鞘腫2例

著者： 森鮎美¹ 伊東明子¹ 木田渉¹ 岩村均¹ 稲吉康比呂¹ 中屋宗雄¹

所属機関： ¹東京都立多摩総合医療センター耳鼻咽喉科・頭頸部外科

ページ範囲：P.683 - P.688

文献概要

はじめに

　神経鞘腫（schwannoma）は，神経鞘を有する脳神経を含んだ末梢神経軸索を包むSchwann細胞に由来する良性腫瘍である。その約1/3は頭頸部に生じるとされるが，舌を含めた口腔内での発生頻度は4％と比較的稀である^1）。今回われわれは舌に発生した30mm以上と比較的大きい神経鞘腫2例を経験したため，若干の文献的考察を加えて報告する。

参考文献

1）遠城寺宗知・他：わが国における良性軟部組織腫瘍8086例の統計的観察．癌の臨20：594-609，1974

2）黒川英雄・他：神経鞘腫の5例．日口外誌36：1764-1775，1990

3）Gallo WJ, et al：Neurilemoma：review of the literature and report of five cases. J Oral Surg 35：235-236, 1977

4）橋本大門・他：舌に発生した神経鞘腫の4例．口咽科16：243-249，2004

5）葭葉清香・他：舌縁に発生した神経鞘腫の1例—術前後の舌運動訓練が奏功した1例．昭和学士会誌80：422-429，2020

6）久我むつみ・他：舌神経鞘腫例．耳鼻臨床88：7：891-898，1995

7）鐵原拓雄・他：神経鞘腫の細胞像—27例の検討より．日臨細胞会誌38：45-49，1999

8）田中可奈子・他：神経鞘腫の細胞像—Antoni A型，Antoni B型における肉眼的・組織学的所見との比較・検討．日臨細胞会誌51：33-340，2012

9）尾尻博也：頭頸部の臨床画像診断学 改訂第4版．南江堂，東京，2021，p1113

10）嶋根俊和：頸部神経鞘腫の摘出と神経機能温存．耳喉頭頸95：424-429，2023