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文献詳細

雑誌文献

耳鼻咽喉科・頭頸部外科96巻9号

2024年08月発行

原著

診断に難渋した副鼻腔炎を伴うANCA関連血管炎の1例

著者: 平賀幸弘1

所属機関: 1行徳総合病院耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.770 - P.775

文献概要

はじめに

 抗好中球細胞質抗体(anti-neutrophil cytoplasmic antibody:ANCA)関連血管炎(ANCA-associated vasculitis:AAV)は,その上気道病変に耳鼻咽喉科領域である中耳・鼻副鼻腔・喉頭などを含む。しかし,その血管炎は主として全身の小血管に起こり多彩な症状を呈するため,耳鼻咽喉科医単独ではしばしば診断に苦慮することが多く,その結果治療開始が遅れた報告も認める1,2)

 本報告では,抗菌薬に反応しない頭痛を伴う副鼻腔炎の治療に苦慮したが,その後肺病変,急速な腎機能障害,およびMPO(myeloperoxidase)-ANCA高値が明らかとなり,AAVのうち多発血管炎性肉芽腫症(granulomatosis with polyangiitis:GPA)の診断に至った1例を経験したので,若干の考察を加えて報告する。

参考文献

1)木下慎吾・他:治療開始が遅れたANCA関連血管炎病理検査の問題点と診断的治療の重要性.頭頸部外29:177-184,2019
2)木原千春・他:診断が遅れたANCA関連血管炎性中耳炎(OMAAV)例.耳鼻臨床116:129-136,2023
3)有村義宏:ANCA関連血管炎診療の進歩—Overview.日サ会誌39:19-24,2019
4)松本佳則:ANCA関連血管炎診療の新展開.日内会誌110:2196-2205,2021
5)大橋敬司・他:ANCA関連血管炎の診断ガイドライン2014年改訂版.日耳鼻119:81-86,2016
6)小林茂人:ANCA関連血管炎の診断の難しさと治療の重要性—内科の立場から.Otol Jpn 23:258-262,2013
7)上杉憲子・他:血管炎の病理.日腎会誌56:87-97,2014
8)厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業 針谷正祥・他(編):ANCA関連血管炎診療ガイドライン2023.診断と治療社,東京,2023,pp138-143
9)森田由香:ANCA関連血管炎性中耳炎(OMAAV)の診断と治療.日耳鼻121:704-705,2018

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1316

印刷版ISSN:0914-3491

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