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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル23巻1号

1989年01月発行

文献概要

特集 理学療法の展望 これからの理学療法を考える

臨床現場からみた理学療法の課題

著者: 鶴見隆正1

所属機関: 1高知医科大学附属病院

ページ範囲:P.32 - P.33

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 1.初めに

 一般病院の理学療法士として17年勤務してきた経験を通して,これからの理学療法について若干の私見を述べてみたい.

 理学療法が医学,医療の中でどのように位置づけられようか.リハビリテーション医学自体,その学問体系が完全に確立していない現状の中で,理学療法の学問的位置づけを論ずることは容易ではない.ただ言えることはリハビリテーション医学の中で治療手段の一つとして位置づけられていることである.これとて不明確であることは否めない.理学療法を学問としてどのように体系づけ確立させるかを論議すると,何か無から創り出すように考えるが,理学療法の歴史23年の臨床経験と研究の積み重ねを基本にして,リハビリテーション医学,整形外科,内科,小児科などの各臨床医学,あるいは隣接する学問体系をうまく活用し調整していくことで道は開かれてこよう.

 では,と具体的になるとまだまだ多くの課題がある.例えば,理学療法の分野は医師のように医学部に講座や教室制のようなシステムが無いため,継続して学問を構築していくうえでの核になる機構が存在しない点である.しかし,医学部のような講座制を千秋の想いで待つよりも,全国各地の第一線の病院,施設で勤務する約8,000名の理学療法士の臨床経験と研究活動とを集積していくことが理学療法学への早道と思われる.すなわち,既存の学問体系の構築過程と同じである必要は無い.リハビリテーション医学とまったく離れては在りえないものの,理学療法の分野に関するところは,日本理学療法士協会あるいは学会のなかに理学療法の体系化に関する研究部門を設置し,新しい構築方法で独自性に富むたたき台となる体系づくりが必要ではないだろうか.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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