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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル23巻1号

1989年01月発行

文献概要

論説

養護学校での理学療法―養護・訓練の技術として

著者: 工藤俊輔1

所属機関: 1東京都立府中養護学校

ページ範囲:P.53 - P.53

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 養護学校へ養護・訓練(以下養訓と略す)の専門教諭として転出し8年目になる.転出を考えた理由は幾つかあるが現状の障害児教育の中で理学療法士が理学療法士の資格で制度的にかかわることができないことを目の当たりにし,外側からそのあれこれを批判するのではなく内側から考えてみたいという思いが強くあったからだ.養護学校は障害児の療育を考えるうえでのブラックボックスであると言われている.有名な成瀬・小池論争の中で感じていたことをその中で確かめてみたかった.

 多少気負っていたかもしれない.今になってみるとお笑い草になるかもしれないが,当初は学校の中での理学療法の役割を明示するために随分と専門家ぶった話をしたり態度を示しだいぶ反発を買った.しかし障害児教育は1人だけの力ではできない.教育には教育目標というのがあり,その実現のために教育課程があるのだということに気が付いた.理学療法の技術のみでその教育目標をすべて実現することはできない.とすればいったいここで自分に何ができるか,いろいろ悩んだ末第一に考えたことは,子どもの合理的な介助法のくふうや道具のくふうであった.このことは直接子どもの教育にかかわることでないかもしれないが,見過ごされていることだと思った.車いす上での姿勢の変換のしかた,抱きかた,降ろしかたなど当初私が紹介した方法の幾つかが定着している.特に子どもの抱きかたなどを通じて脳性麻痺児についての理解を深めてもらうことは具体的で意味があった.ここで学んだことはすべて問題を具体的に説明できるかどうかが,異なる職種の中で仕事を理解してもらう重要なステップだということだった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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