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論説
養護学校での理学療法―養護・訓練の技術として
著者: 工藤俊輔1
所属機関: 1東京都立府中養護学校
ページ範囲:P.53 - P.53
文献購入ページに移動多少気負っていたかもしれない.今になってみるとお笑い草になるかもしれないが,当初は学校の中での理学療法の役割を明示するために随分と専門家ぶった話をしたり態度を示しだいぶ反発を買った.しかし障害児教育は1人だけの力ではできない.教育には教育目標というのがあり,その実現のために教育課程があるのだということに気が付いた.理学療法の技術のみでその教育目標をすべて実現することはできない.とすればいったいここで自分に何ができるか,いろいろ悩んだ末第一に考えたことは,子どもの合理的な介助法のくふうや道具のくふうであった.このことは直接子どもの教育にかかわることでないかもしれないが,見過ごされていることだと思った.車いす上での姿勢の変換のしかた,抱きかた,降ろしかたなど当初私が紹介した方法の幾つかが定着している.特に子どもの抱きかたなどを通じて脳性麻痺児についての理解を深めてもらうことは具体的で意味があった.ここで学んだことはすべて問題を具体的に説明できるかどうかが,異なる職種の中で仕事を理解してもらう重要なステップだということだった.
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