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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル23巻10号

1989年10月発行

文献概要

特集 下肢切断の理学療法

高齢切断者に対する義肢装着訓練

著者: 新妻晶1

所属機関: 1昭和大学病院理学診療科

ページ範囲:P.680 - P.687

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 Ⅰ.初めに

 近年,高齢化社会が進む中で,高齢になってからの切断例が増加している.その原疾患として末梢循環障害の占める割合が多くなってきている1).これらの高齢切断者にとって,義足歩行を習得することはとてもたいへんなことである.できれば,ベッドや車いすなどによる楽な生活を望むであろう.しかし,我が国では核家族化が進むにつれ,一人暮し,老夫婦のみ,高齢二世代などの家庭が増しており,介護者も高齢であることが多い.そこで,介護者の負担を少しでも減らすために,より上のレベルのADL能力が求められるようになってきた.

 だが,高齢者は,筋力,持久力,平衡機能,反射能力などの低下や不良肢位による拘縮,視力,聴力,理解力の減退がみられ,感情的に不安定で依存性も強いため,訓練量の設定や訓練意欲の引き出しに苦慮する2).さらに,さまざまな合併症を有しているため,運動自体が制限されることも多い.また,たとえ義足歩行が可能となっても,退院後の介護者の理解と協力がなければ,義足による生活実現はみられない.本稿では,切断レベル別にそれぞれの合併症をもつ症例にふれながら,高齢切断者の訓練プログラムについて述べてみたい.(なお,高齢者の基準についてはいろいろと議論されるところであるが,欧米で血行障害の多くみられる60代以上を取り上げてみた1).)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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