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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル23巻10号

1989年10月発行

文献概要

講座 哲学・4

これからの哲学

著者: 磯江景孜1

所属機関: 1京都大学教養部

ページ範囲:P.709 - P.713

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 20世紀の哲学を回顧すれば,実に種々な立場が登場して相互に反発したり影響し合ったりしてきたことに人は驚きを感じることだろう.Marx主義,実証主義,分析哲学,プラグマティズム,実存主義,構造主義,ポスト構造主義,現象学,解釈学的哲学などである.哲学の諸問題が本来的には哲学者たちだけの問題ではなくて人間の社会的生活に根ざした問題であるなら,このように多様な哲学的立場の登場は現代社会の複雑多様な要求を反映していることを示唆するものであって,複雑な社会の未来的方向は見極め難いであろう.それでも21世紀へ向かおうとしている現在状況の中でもっとも問題的として予感されているのは,地球的規模での自然破壊や環境汚染による人類生存の危機であろう.またある人たちにとっては世界の社会体制の大きな変勤が切迫した問題になるだろうし,またこれと関連して異文化間の相互関係が問題とされるだろう.このような切迫している現実的諸問題に対してそれぞれの哲学は直接的なしかたにおいてではなくとも何らかのしかたで応答することによって社会的機能を果たさなければならないだろう.そうでなければ哲学的思索が哲学者だけの秘儀的な営為に終わってしまうだろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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