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あんてな
生活保護の現状と課題
著者: 岸勇1
所属機関: 1仏教大学社会福祉学科
ページ範囲:P.724 - P.724
文献購入ページに移動 昨年「福祉が人を殺すとき」というショッキングな題名の本が出版され人々の注目をひいたが,この本で画かれているように,いま生活保護行政の下で,札幌市での母子世帯の母親の餓死事件や東京都荒川区での老人の自殺事件をはじめ,全国各地において多くの悲惨な事件が生み出されている.生活保護法は「日本国憲法第25条に規定する理念に基き」国が生活に困窮するすべての国民に対し,健康で文化的な最低限度の生活を保障すると格調高くうたっているにもかかわらず,何故現実にはこのような事件が次々と引き起こされているのであろうか.それは,根底的には,生活保護制度そのものに内在する,建前とは裏腹に非民主的で権利侵害的な本質に深く根差しているとともに,直接的には,いわゆる臨調・行革路線の下で生活保護行政が,特に1980年代に入って,「適正実施」の名の下に,その厳しさを一段と強めてきたという事情によるものと思われる.以下生活保護行政の最近の動向を概観することを通じて,この点を明らかにしてみたい.
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