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特集 整形外科
骨粗鬆症と理学療法
著者: 太田隆1 小沼正臣1 林𣳾史2
所属機関: 1東京都老人医療センター 2東京都老人医療センターリハビリテーション診療科
ページ範囲:P.814 - P.817
文献購入ページに移動理学療法の中でも特に運動療法が骨疾患にかかわってきた歴史を振り返ってみると,以前は小児の骨変形・奇形,成人の戦傷や産業災害による骨折などがほとんどであった.そこには老人の骨萎縮性疾患である骨粗鬆症を運動負荷により治療しようとする考えは無かった.また,骨粗鬆症により生じる老人の四肢の骨折に対しては積極的な治療がなされなかったため,骨粗鬆症に対して,医療としての運動療法の入り込む余地が少なかった.それは老人の骨が弱くなり,腰が曲がり,骨折しやすくなるのはすべて歳のせいであり,白髪や顔のしわと同様にしかたが無いものとされてきたためであろう.
しかし,近年の高齢化社会の到来,骨粗鬆症の原因解明,予防・治療法の進歩,骨折治療手技の進歩を含めた老年病学の発展により,科学的根拠に基づいた医療としての理学療法が骨粗鬆症にかかわれるようになってきた.一方,寝たきり老人の原因疾患として,骨粗鬆症が15~20%を占め,脳血管障害に次いで大きな割合を占めることがわかってきた1).また,米国では骨粗鬆症が移動能力欠如老人の原因疾患のトップの座を占めているとも言われている.このことから,老人の福祉,生活の質の向上の面からも骨粗鬆症およびそれに伴う骨折は在宅リハビリテーションの対象疾患の中でも比重が増しつつある.これらのことを考えると理学療法の骨粗鬆症へのかかわりは,大腿骨頸部骨折における術後急性期から,骨量増加を目的とした訓練,そして在宅リハビリテーションまでと広範にわたることになる.
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