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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル23巻12号

1989年12月発行

文献概要

第1回『理学療法ジャーナル』賞・準入賞論文

脳卒中陳旧例に合併する排尿障害と運動機能の改善との関係について

著者: 泉唯史1

所属機関: 1札幌丘珠病院

ページ範囲:P.867 - P.872

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 Ⅰ.初めに

 脳卒中発症後に合併する排尿障害は,患者や家族にとって大きな悩みであるばかりでなく,リハビリテーション(以下リハと略す.)のプログラムを遂行し,社会復帰を促進する上でも大きな阻害因子となっている.この合併率は,14.5%(斉藤ら)1)から45.5%(沢浦ら)2)まで,報告者により幅はあるが,いずれも,排尿障害の存在が,患者の身体面・心理面での自立を妨げ,家族の精神的・肉体的・経済的負担の著しい増加に直結すること,および尿が分解し臭気を生じることで社会生活に対して大きな障害となることなどを言及している.

 しかしながら,排尿障害を合併した脳卒中患者の障害像やリハ予後についての詳細な報告3,4)や脳卒中急性期の排尿障害と運動障害の回復との関係について述べた論文2)は散見されるが,陳旧期に至った脳卒中片麻痺患者で,なお排尿障害を合併している患者の運動障害と排尿障害の改善との関係について述べた論文は少ない.

 当院には,発症後の経過の比較的長い患者が集中しているが,入院時より排尿障害を合併する脳卒中片麻痺患者に対して,理学療法士による運動療法と,病棟看護婦による排尿訓練を通じて,排尿障害の改善する例が少なくないことをよく経験する.

 今回,この脳卒中片麻痺患者の排尿障害について,身体能力の改善との関係に注目して当院におけるリハ前後での変化を検討した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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