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雑誌目次

雑誌文献

理学療法ジャーナル23巻2号

1989年02月発行

雑誌目次

特集 不全四肢麻痺;高齢者を中心に

不全頸髄損傷の病態と障害評価について

著者: 大橋正洋 ,   小林一成

ページ範囲:P.80 - P.85

 Ⅰ.初めに

 Michaelisらは脊髄損傷の神経学的用語を統一することを提唱し,損傷高位の呼称について「損傷を受けていない脊髄最下位の髄節の位置と骨傷部位を記載する」ことと定めた.しかしながら不全損傷については,明確な定義を定めることができなかった1).そこで本編では不全損傷として,「正常に機能している髄節より下位の身体障害部位に,何らかの運動あるいは知覚機能が残存している状態」といった内容を考えることとする.

 さてリハビリテーション・プログラムを進めるに当たっての問題は,不全頸髄損傷では最終機能ゴールを予測することが困難で,いくつかの可能性を考えながら治療を進めなければならないことである.そこで,頸髄の解剖学的特徴や不全頸髄損傷のさまざまな病態を説明し,機能的ゴールの予測や障害評価をどのように行なうべきか,さらに最近の10年間にわれわれのリハビリテーション病院で経験した症例について述べてみたい.

頸部脊髄症による不全四肢麻痺の理学療法―特に高齢者について

著者: 吉成俊二 ,   伊藤真奈美 ,   鷲見正敏

ページ範囲:P.86 - P.91

 Ⅰ.初めに

 頸部脊髄症は,加齢による退行変性が基盤となり発症するため,高齢化社会を迎えた現在,高齢者の本症罹患率が上昇してきている.一方,最近の麻酔や手術手技の進歩に伴って,高齢者に対しても手術的治療が積極的に施行されている.また,高齢者自身の活動性も高くなり,保存的治療が効果的でない高齢者がより高いQOLを求めて手術的治療を希望する場合が増加してきている.それに伴って,われわれ理学療法士も術後の理学療法を行なう機会が多い.一般に高齢者の場合,症状の悪化が緩やかで慢性に経過し,罹病期間が長く重症度も高いと言われている1~3).また,術後の回復経過もさまざまな因子が関与し,正確なゴール設定が困難なことが多い.

 頸部脊髄症のため四肢の筋力低下,痙性麻痺,知覚異常などをきたす疾患としては,頸部脊椎症性脊髄症(以下,CSMと略),頸椎後縦靱帯骨化症(以下,OPLLと略),頸椎椎間板ヘルニア(以下,CDHと略)が代表的なものである.今回,われわれは,1985年4月から1988年7月までの間に頸部脊髄症のため,当院整形外科で手術的治療を施行され,理学診療科で理学療法を行なった65歳以上の頸部脊髄症患部の術後経過と訓練プログラム,および理学療法施行上の問題点について述べる.なお,同時期に手術的治療を施行された65歳以下の同疾患症例を比較対象群とした.なお,慢性関節リウマチによる頸椎症性脊髄症,アテトーゼ型脳性麻痺による頸椎症性脊髄症,外傷,腫瘍および先天性奇形などによる頸部脊髄症は,術前の機能障害の程度や手術方法などにかなりの差異があるので今回の対象から除外した.

頸椎症に対する作業療法

著者: 高梨美帆 ,   星文子 ,   川原康弘

ページ範囲:P.92 - P.99

 Ⅰ.初めに

 頸椎症性脊髄症および後縦靱帯骨化症(以下,頸椎症と総称する.)などに代表される非外傷性脊髄障害は,脊髄の圧迫による錐体路障害を主体とした痙性麻痺を生じる.このため下肢では歩行障害が生じ,上肢では指の細かい運動が困難となる.以上の症状よりリハビリテーションプログラムの中で,歩行障害には理学療法が行なわれるものの,上肢は巧緻性の低下といった見落とされやすい障害のため,作業療法の対象とされないまま退院していくケースが多い.当院整形外科では頸椎症に対する術後のリハビリテーションプログラムが設定されており,適応に応じ作業療法士によって,上肢機能の評価・訓練が行なわれている.

 つまり基本的なプログラムとして,患者は術後4週目の頸椎装具装着まで,臥床を強いられているが.この間にリハビリテーション医の処方の下にROMを中心としたベッドサイドの理学療法が開始される.術後4週目になると起座訓練が開始され,訓練室での訓練へと移行し歩行訓練が進められる.作業療法は,上肢に問題があると思われるケースに対して,この時期に開始される.今回われわれは,当作業療法部門で経験した過去10年間の頸椎手術後の症例を通じ,その上肢機能障害の特徴と具体的な作業療法アプローチとについて述べていきたい.

在宅不全四肢麻痺患者のADL

著者: 椎野達 ,   渡辺富久美 ,   西村朗 ,   戸渡富民宏

ページ範囲:P.100 - P.105

 Ⅰ.初めに

 不全四肢麻痺患者の家庭でのADL能力の維持,向上は彼らのリハビリテーションの上での最終目標である.病院とは異なった環境である家庭内では,種々のADL阻害因子があり,特に高齢者では年とともに,低下する体力と相互して5年先10年先のADL能力および環境適応能力を予想し対応していかなければならない.また主たる介護者である妻の高齢化にも留意しなければならない.

 総合せき損センターで1979年~1988年5月の過去10年間の入院動向をみると,60歳以上の四肢麻痺患者は86名で,そのうち67名(78%)が不全麻痺であった.不全四肢麻痺患者のADL能力を歩行動作の面でみると,67名中32名(49%)が独歩19名(28%)が杖または松葉杖歩行,歩行不可は16名(23%)であった.このように不全麻痺率が非常に高い原因について調べてみると,受傷原因(図1)では自宅での転倒,階段からの転落が19名.自転車に乗っていて転倒,転落した者13名など比較的弱いダメージによって頸髄損傷となっており,86名中16名にX線像上頸椎の後縦靱帯骨化を伴っていた.これらを推察すると,老人には骨の老化現象および疾病による頸椎骨の強度の低下,脊柱管の狭窄,脊柱の柔軟性の低下を伴うため,わずかな外力によっても脊髄の損傷が引き起こされるが,原因となった外力が小さいために不全麻痺になる確率が高いのではないかと思われる.

 当センターでは四肢麻痺患者の退院に際し,ADLを維持,向上するために患者,家族の教育と指導,身障者用機器の紹介,開発,製作および住宅改造などを積極的に行なってきた.これらを紹介し若干の知見を述べてみる.

とびら

教育に携わって

著者: 木山喬博

ページ範囲:P.79 - P.79

 教育に従事して3年を経過した.教育資料を自分なりに断片的に集める第一段階がようやく終わったところである.今後は,断片的な知識の整理に取り組む時期と自覚している.若くて将来性豊かな学生に何をどのように伝えるか,その難しさを痛感している.楽しく,わかりやすい講義を学生が期待しているものの,その期待に応(こた)えるのは私にとってはまだまだ難題である.その努力はしているが…….

 理学療法士の仕事は障害をもっている「人」に接することから始まり,その「人」に満足してもらうことが重要と考えている.満足してもらうためには,有効な治療・訓練の手段を提供する必要がある.「人」にとって,この手段が有効でさえあれば,第三者がその有効性を科学的に納得するか否かは問題ではない.しかし,教育の場においては納得できる内容のほうが伝えやすいし,理解しやすいはずである.薬物や手術療法では大きな効果が得られることが多いが,理学療法による効果の幅はきわめて狭いため,理学療法「学」および「術」を学生に伝達するのはほんとうに難しいと感じている.

講座 理学療法評価・2

筋力の評価

著者: 鶴見隆正

ページ範囲:P.107 - P.114

 Ⅰ.初めに

 リハビリテーション医学における評価(evaluation)は,患者の病態と障害とを的確にとらえ効果的なリハビリテーションを施行するために重要である.医療技術の進歩や疾病構造の変化,老齢人口の増加などにより,理学療法分野での評価も拡大,複雑化しつつある.ICU,NICUなどの急性期での評価,難病疾患や心疾患,スポーツ障害などの評価,さらに高次脳機能に関するものや,地域社会,学校教育など社会生活までを包括した評価が求められている.その一方で,より客観的で定量的なものとするべくME機器を用いた分析が行なわれてきている.

 しかし,これらの種々の評価方法の基本となるのは,理学療法の創生期に三大評価と言われていた徒手筋力検査(以下,MMTと略),関節可動域テスト,日常生活動作(ADL)テストである1).これら三大評価については,日本リハビリテーション医学会や日本理学療法士協会の学術部において数回にわたって検討が重ねられ基準化が計られてきた経緯をみても,いかに重要で基本的な技術であるかがうかがえる1,2).当然理学療法士の卒前教育においてもMMT,関節可動域テストなどの検査測定の時間数は多く,理学療法白書3)によれば平均102.2時間となっており,現行の指定規則によるカリキュラム(60時間)の約1.7倍の教育が行なわれている.

 そこで講座・評価シリーズの最初の各論として,筋力の評価を取り上げ筋力の検査,測定と評価との関連を中心に述べる.

科学としての理学療法学・2

運動学と理学療法

著者: 半田健壽

ページ範囲:P.115 - P.121

 Ⅰ.はじめに

 理学療法(Physical Therapy)は自然界に存在する物理的手段を生体に用いて,生理的に起こる反応(異常反応ではない)を治療に利用するものであり,用いる物理的手段によって,①水治療法,②吸入療法③光線療法,④運動療法,⑤徒手療法,⑥マッサージ,⑦電気療法,⑧超音波療法,⑨鉱泉療法などに分類される1)

 運動学(kinesiology)は人間の運動を取り扱う科学で,生理学,物理学,心理学,社会学などの学問分野を統合した上に成り立つ応用の学問としてとらえられるものである2)

 この章では理学療法の中で科学としての運動学がどのようにかかわっているのかを探ることを目的として,運動療法の事例を挙げ,①個々の理学療法手技の理論的根拠としてどのように運動学が用いられているのか,②治療手技の判定・評価とのかかわり合い,③治療手技の開発に運動学がどのように用いられているのか,という観点で解説してゆく.

クリニカル・ヒンイ

固い浮腫を見逃すな

著者: 伊藤直榮

ページ範囲:P.122 - P.122

 浮腫の有無,その程度について注意深く観察し,触知しなければならないことは周知のことであるが,それに対して理学療法士がどれだけ具体的に対応し,患者の回復に貢献することができるであろうか症例を通して述べる.

1ページ講座 臨床検査値のみかた・2

「炎症」および「膠原病」

著者: 上田敏 ,   大川弥生

ページ範囲:P.123 - P.123

 Ⅲ.炎症

 〔病理生理〕炎症とは,生体に対してその動的均衡を破るような刺激(物理的,化学的,生物学的)が加わった際,それを処理し排除しようとして起こる循環障害,滲出,変性,過形成などの一連の非特異的防御反応である.CRP・α-アンチトリプシン・C3・C4などの種々の急性相反応物質の合成が促進され,また赤血球沈降速度(赤沈値)の促進や末梢血液像の変化,血清蛋白分画の変化などが生じる.

論説

理学療法士の明日を考える

著者: 林義孝

ページ範囲:P.124 - P.124

 1988年6月第108国会においてようやく義肢装具士法が成立し,理学療法士・作業療法士法が制定されて実に23年ぶりに,リハビリテーション医療の場に新しい仲間を迎えることになった.

 しかし,この法律によって理学療法士の業務範囲が狭められるのではないかという懸念が生じた.従来の作業療法士や理学療法士が行なってきた義肢装具や副子などへの関与が,法的に認められなくなるのではないかとの心配である.しかし,現在すでにこの点についての関係者間の話し合いが開始されており,本文が印刷されるころには結論が得られていると考えられる.

プログレス

小児の難治性てんかんの治療

著者: 藤原建樹

ページ範囲:P.125 - P.125

 難治てんかんの治療を論ずる前に,次の事項を銘記しておく必要がある.すなわち日常診療場面で難治に経過していた症例を診た場合,その症例が真の難治てんかんであるか否かの見極めが肝要であるという事実である.

 ぼんやりとなり口もとをペチャペチャさせる非痙攣発作が多年にわたり,治療に抵抗していた一少女を例にとる.欠神発作とされ抗欠神剤のエトサクシミドを十分量投与されていたがまったく無反応であった.ところが正しい発作型は側頭葉起源の複雑部分発作であり,抗欠神剤を部分発作に有効なフェニトインに変えたところ発作は著明に減少した.皮質焦点起源の非痙攣発作を全般性の非痙攣発作である欠神発作と誤認した結果,適剤の選択を誤ったのである.見かけの難治てんかんの好個の例である.

PT最前線

二重生活を課して難関を突破―斯界第二号の博士号取得者となった丸山仁司氏

著者: 本誌編集室

ページ範囲:P.126 - P.127

 1988年5月27日,埼玉医科大学大学院にて乙163号として一人の医学博士が誕生した.埼玉医科大学雑誌第15巻第2号(1988年4月号)に掲載された原著論文が,学位論文として認められてのことであった,その原著論文のタイトルは「運動発達過程における動作出現順序と酸素消費量」,そして筆者は「丸山仁司」.

 1988年10月14日に学位授与式が行なわれた.しかし,本人は欠席した.職業をもつ身であれば…….

 今回の「PT最前線」は斯界第二号の博士号取得者となった丸山仁司氏の,取得に至る道程を物語風に紹介する.

あんてな

義肢装具士制度について;養成施設の開校と指定講習会の実施

著者: 竹内俊明

ページ範囲:P.128 - P.128

 義肢装具士法(1987年法律第61号,以下「法」と言う)が1987年6月2日に制定され1988年に入って関係の政省令―義肢装具士法施行令(1988年2月23日政令第23号),義肢装具士法施行規則(1988年3月28日厚生省令第20号)及び義肢装具士学校養成所指定規則(1988年3月28日文部・厚生省令第3号)―が公布され,義肢装具士制度は,1988年4月1日からスタートした.

 これに伴い,これまですでに義肢装具の専門職員の養成を行ってきた,国立身体障害者リハビリテーションセンター学院の義肢装具専門職員養成課程(修学年限高卒3年,カリキュラム時間数3300時間,定員10名,所在地埼玉県所沢市)及び中部リハビリテーション専門学校義肢装具学科(修学年限高卒3年,カリキュラム時間3650時間,定員20名,所在地名古屋市中村区)の2校が,義肢装具士の養成施設として厚生大臣の指定を受け,1988年4月から義肢装具士法上の養成施設として発足している.

原著

上肢協調性運動の定量的評価の試み

著者: 浅賀忠義 ,   松本昭久

ページ範囲:P.129 - P.134

 Ⅰ.初めに

 上肢における協調運動障害の評価方法としては,FQ(Finger Function Quotient)1),や東京大学式協調性テストをはじめ数多くの方法が提案もしくは使用されている.しかし,石田2)らはこれらの大半が運動結果として得られるスピードと正確さとの二点に焦点が向けられており,確たる定量化が困難であるとしている.一方,定量的検査法としては,神田3)の上肢反復変換運動をポテンシオメーターなどを用いて定量化するものや,千野ら4)のピックアップセンサーを用いた動作分析などが報告されているが,いずれも大がかりな装置が必要であり,実用性に問題がある.

 そこで今回われわれは,臨床においても急速に普及してきたパーソナルコンピューターおよびその周辺機器の利用を思いつき,運動過程も含めて定量化を行ないうる新しい評価方法を考案した.なお協調運動障害の評価因子としては方向(spacing)と力関係(grading)および時間関係(timing)の三点が基礎とされており5),筆者らもこの三点を取り上げることとした,臨床においてはこれらの因子が重複して,例えば失調症の測定障害(dysmetria),運動過程障害(decomposition)や大脳基底核障害による運動緩慢(bradykinesia)などさまざまな症状を呈する.本報では,新提案による評価方法の有用性,および上記した各症状と測定項目との関連性について検討したので報告する.

立位姿勢保持における足指の作用に関する研究

著者: 浅井仁 ,   奈良勲 ,   立野勝彦 ,   山下美津子

ページ範囲:P.137 - P.141

 Ⅰ.初めに

 これまで,ヒトの立位姿勢保持能力の評価については,姿勢の評価,足圧中心動揺の測定による平衡機能の評価など諸家により数多くの報告がなされている.しかし,それらのほとんどは平衡機能において重要な前庭系,視覚系,体性感覚系を含めた中枢神経系の作用を中心に論じられたものである.また,ヒトが立位姿勢を保持する際に直接大地と接触するのは足部であるが,足底あるいは足指の機能と立位姿勢の関係については,藤原ら1~3)の報告があるのみで,リハビリテーション医学の分野においても,現状では,月村4,5)の報告以外はほとんど皆無である.

 最近では足部の変形,特に女性における履物による外反母指などの足指の変形に対する関心6)も高まっており,足指が立位姿勢保持においてどのような働きをするかを,検索する必要性を感じた.

 そこでわれわれは,まず立位姿勢保持における足指の作用について,母指と他の足指との機能的役割の違いに着目した.その検索方法として,健常人を対象にし足指を免荷した場合の足圧中心動揺の測定を,今回は外乱刺激を与えずに月村4)によるクロステスト(後述)を応用して行ない,その結果若干の知見を得たので報告する.

紹介

運動療法室のBGMについて

著者: 大西昇一 ,   西山行保 ,   鬼塚達則 ,   角谷孝

ページ範囲:P.135 - P.136

 Ⅰ.初めに

 BGMは,娯楽施設をはじめ多くの場所で,その場の雰囲気を盛り上げたり人々の気持ちをリラックスさせる目的で使用されている.

 このことからわれわれは,運動療法を行なう際にBGMを流したら,患者のリラクセーションを図ることが必要な場台に効果が有るのではないかと考えた.

 そして,①運動療法室にBGMは必要か否か,②必要ならどんな音楽が良いのか,を知る目的でアンケート調査を行なってみたのでその結果を報告する.

豆知識

原著論文の書きかた

著者: 本誌編集室

ページ範囲:P.121 - P.121

 論文を書くうえでいちばんたいせつなことは,何故この論文を書くに至ったのかという理由をはっきり示すこと,この研究によって新しくわかった知識は何であるかということを,はっきりと示すことです.

「引用」とは

著者: 本誌編集室

ページ範囲:P.134 - P.134

 「引用」の範囲を超えて他人の著作物を,自身の著作物へ取り込む場合(”転載”)には相手方(著作権者・出版社)の許諾が要ります.(許諾の条件として著作権使用料を請求される場合もあります.)ただし,「引用」の条件を満たして利用する場合は自由に利用できます.

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文献抄録

ページ範囲:P.142 - P.143

編集後記

著者: 鶴見隆正

ページ範囲:P.146 - P.146

 激動の「昭和」の歴史が幕を閉じて,今日で2日目.読者の皆様におかれてもさまざまな想いがあることでしょう.理学療法士および作業療法士法の制定も一時代前のこととなってしまいましたが,理学療法のさらなる発展への努力が望まれます.新元号は「平成」.日本のみならず世界の平和に向かう日々であってほしいものです.

 さて,高齢化社会となった現在,OPLLなどによる頸椎症性脊髄症や頸椎への小外力で不全四肢麻痺となる老人が多くなってきています.完全損傷の四肢麻痺と異なり,病態と回復過程が複雑なこの不全四肢麻痺を本号の特集に取り上げました.大橋氏には豊富な臨床経験を基に,不全四肢麻痺の病態と評価とについて詳述していただきました.吉成氏には具体的な理学療法プログラムと留意すべきポイントとを,高梨氏には作業療法士の視角から上肢機能の取り組みを述べていただきました.また椎野氏には症例を提示しつつ在宅ケア,家屋改造の配慮すべき点を論じていただき,在宅ケアと言えばCVA中心であっただけにこれはおおいに参考となります.

基本情報

理学療法ジャーナル

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1359

印刷版ISSN 0915-0552

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