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特集 不全四肢麻痺;高齢者を中心に
不全頸髄損傷の病態と障害評価について
著者: 大橋正洋1 小林一成1
所属機関: 1神奈川リハビリテーション病院リハビリテーション医学科
ページ範囲:P.80 - P.85
文献購入ページに移動 Ⅰ.初めに
Michaelisらは脊髄損傷の神経学的用語を統一することを提唱し,損傷高位の呼称について「損傷を受けていない脊髄最下位の髄節の位置と骨傷部位を記載する」ことと定めた.しかしながら不全損傷については,明確な定義を定めることができなかった1).そこで本編では不全損傷として,「正常に機能している髄節より下位の身体障害部位に,何らかの運動あるいは知覚機能が残存している状態」といった内容を考えることとする.
さてリハビリテーション・プログラムを進めるに当たっての問題は,不全頸髄損傷では最終機能ゴールを予測することが困難で,いくつかの可能性を考えながら治療を進めなければならないことである.そこで,頸髄の解剖学的特徴や不全頸髄損傷のさまざまな病態を説明し,機能的ゴールの予測や障害評価をどのように行なうべきか,さらに最近の10年間にわれわれのリハビリテーション病院で経験した症例について述べてみたい.
Michaelisらは脊髄損傷の神経学的用語を統一することを提唱し,損傷高位の呼称について「損傷を受けていない脊髄最下位の髄節の位置と骨傷部位を記載する」ことと定めた.しかしながら不全損傷については,明確な定義を定めることができなかった1).そこで本編では不全損傷として,「正常に機能している髄節より下位の身体障害部位に,何らかの運動あるいは知覚機能が残存している状態」といった内容を考えることとする.
さてリハビリテーション・プログラムを進めるに当たっての問題は,不全頸髄損傷では最終機能ゴールを予測することが困難で,いくつかの可能性を考えながら治療を進めなければならないことである.そこで,頸髄の解剖学的特徴や不全頸髄損傷のさまざまな病態を説明し,機能的ゴールの予測や障害評価をどのように行なうべきか,さらに最近の10年間にわれわれのリハビリテーション病院で経験した症例について述べてみたい.
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