文献詳細
文献概要
特集 不全四肢麻痺;高齢者を中心に
頸椎症に対する作業療法
著者: 高梨美帆1 星文子1 川原康弘1
所属機関: 1横浜市立大学医学部病院リハビリテーション科
ページ範囲:P.92 - P.99
文献購入ページに移動頸椎症性脊髄症および後縦靱帯骨化症(以下,頸椎症と総称する.)などに代表される非外傷性脊髄障害は,脊髄の圧迫による錐体路障害を主体とした痙性麻痺を生じる.このため下肢では歩行障害が生じ,上肢では指の細かい運動が困難となる.以上の症状よりリハビリテーションプログラムの中で,歩行障害には理学療法が行なわれるものの,上肢は巧緻性の低下といった見落とされやすい障害のため,作業療法の対象とされないまま退院していくケースが多い.当院整形外科では頸椎症に対する術後のリハビリテーションプログラムが設定されており,適応に応じ作業療法士によって,上肢機能の評価・訓練が行なわれている.
つまり基本的なプログラムとして,患者は術後4週目の頸椎装具装着まで,臥床を強いられているが.この間にリハビリテーション医の処方の下にROMを中心としたベッドサイドの理学療法が開始される.術後4週目になると起座訓練が開始され,訓練室での訓練へと移行し歩行訓練が進められる.作業療法は,上肢に問題があると思われるケースに対して,この時期に開始される.今回われわれは,当作業療法部門で経験した過去10年間の頸椎手術後の症例を通じ,その上肢機能障害の特徴と具体的な作業療法アプローチとについて述べていきたい.
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