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原著
上肢協調性運動の定量的評価の試み
著者: 浅賀忠義1 松本昭久2
所属機関: 1国立療養所札幌南病院 2国立療養所札幌南病院神経内科
ページ範囲:P.129 - P.134
文献購入ページに移動上肢における協調運動障害の評価方法としては,FQ(Finger Function Quotient)1),や東京大学式協調性テストをはじめ数多くの方法が提案もしくは使用されている.しかし,石田2)らはこれらの大半が運動結果として得られるスピードと正確さとの二点に焦点が向けられており,確たる定量化が困難であるとしている.一方,定量的検査法としては,神田3)の上肢反復変換運動をポテンシオメーターなどを用いて定量化するものや,千野ら4)のピックアップセンサーを用いた動作分析などが報告されているが,いずれも大がかりな装置が必要であり,実用性に問題がある.
そこで今回われわれは,臨床においても急速に普及してきたパーソナルコンピューターおよびその周辺機器の利用を思いつき,運動過程も含めて定量化を行ないうる新しい評価方法を考案した.なお協調運動障害の評価因子としては方向(spacing)と力関係(grading)および時間関係(timing)の三点が基礎とされており5),筆者らもこの三点を取り上げることとした,臨床においてはこれらの因子が重複して,例えば失調症の測定障害(dysmetria),運動過程障害(decomposition)や大脳基底核障害による運動緩慢(bradykinesia)などさまざまな症状を呈する.本報では,新提案による評価方法の有用性,および上記した各症状と測定項目との関連性について検討したので報告する.
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