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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル23巻3号

1989年03月発行

文献概要

プログレス

活性酸素・1:原始地球と酸素の誕生

著者: 賀来正俊1

所属機関: 1兵庫医科大学第一生理学教室

ページ範囲:P.187 - P.187

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 今から約46億年前,銀河系のやや端のほうで一つの超新星が爆発し,星の生涯を終えました1),ところが,その爆発の影響で,付近にあった微惑星(直径約10km)たちが激突・合体を繰り返し始め,中には大きな惑星に成長するものも現れました.その一つが原始地球です.原始地球には,その莫大な引力によって吸い寄せられた無数の微惑星が衝突し続け,爆発して粉塵となり,空を覆って暗雲となりました,そして衝突の際に発生した1000℃以上の高熱のため,地表は溶けてマグマとなり原始地球を覆いました.やがて,その熱によって揮発した,おびただしい量の水蒸気(H2O)と二酸化炭素(CO2)とが,約500kmにも及ぶ分厚い原始大気を作りました.当時の原始大気の組成と量(×1020g)3)は,H2O16300,CO22000,HCl340,SO248,N244,H237であり,驚いたことに,われわれに必要不可欠な酸素(O2)は皆無だったのです.そのうち,地球が冷えて原始大気中の水蒸気が豪雨となって降りそそぎ,地球誕生後約1億年以内に原始海洋ができました1~3).この海の嫌気(無酸素)的かつ,強酸性(pH1)で高温(約300℃)高圧(100気圧以上)という過酷な条件の中で,海中の有機物質から発酵(酸素を必要としない代謝;Embden-Meyerhof経路)によってエネルギーを得る(従属栄養5,6))原始微生物が誕生しました.それから数億年後,岩石から溶け出したNa+,Ca2+,Fe2+,K+などによって中和され,水温も下がり生活環境が良くなった海に,突然変異によって,葉緑素を有し光合成(H2O+CO2+光エネルギー→有機物+O2,独立栄養5,6)を営み,酸素を発生する緑色藍藻(らんそう)類が出現しました.このようにして,初めて酸素が地球に登場したのです3,4).ところで,今でもこの緑色藍藻類は,粘液を分泌し,海中の砂を固めて石を作り,ストロマトライトとしてオーストラリアなどに現生しています.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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