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特集 拘縮
Continuous Passive Motion (CPM)の原理と治療効果
著者: 辻下守弘1 鶴見隆正1 川村博文1
所属機関: 1高知医科大学附属病院理学療法部
ページ範囲:P.243 - P.249
文献購入ページに移動関節の拘縮は各種関節手術後および骨折,脱臼などの外傷後においてつねに問題となり,多大な運動制限を残すことがある.従来,このような拘縮を除去するためわれわれ理学療法士は,術後リハビリテーションプログラムの中で多くの時間をROM訓練に費やし,患者は痛みを耐えるために汗と涙を流してきた.
しかし,1970年代よりSalterを中心として行なわれた持続的他動運動(Continuous Passive Motion:CPM)に関するいくつかの基礎的研究1~9)は,従来有害とされてきた術後早期の他動運動に一躍脚光を浴びせることになった.そして,その後Coutts10)らにより,この研究成果を基にしたCPM機器の積極的な臨床応用がなされた.本邦では,1984年よりCPMの概念が導入され,島崎11)や山本12)らが人工膝関節置換術(TKR)後に使用した結果を報告し,理学療法の分野では,第23回日本理学療法士学会において,筆者13)らと岡西14)らとが学会報告を行なっている.
このCPMの開発により,従来の術後リハビリテーションプログラムが大きく変わろうとしている.これは,われわれ理学療法士にとっても無視できない事実であり,理学療法の中で,筋力増強訓練とともに重要なROM訓練の方法論に多大な影響を及ぼすことはまちがいないであろう.ROM訓練について,先人たちは数多くの方法を考案し臨床応用してきた.最近では,関節運動学的アプローチ15)などのテクニックも国内において広まりつつあるが,それに加えて将来このCPM機器も取り入れられ,各病院において必需品となるであろう.
そこで本稿では,理学療法士として今後普及するであろうCPMについて,Salterらの基礎的実験を紹介するとともに,機器使用の方法論,筆者らの使用経験をまとめ,最後にその理学療法における位置づけについて述べる.
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