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特集 先天性疾患
猫なき症候群の理学療法
著者: 沢村泰弘1 野村忠雄1
所属機関: 1石川整肢学園
ページ範囲:P.322 - P.329
文献購入ページに移動猫なき症候群がLejeuneら1)によって1963年に報告されて以来,現在までに数多くの例が報告されたが,その多くは疫学,病態,細胞遺伝学的立場からの報告2~7)であり,リハビリテーションに関する報告8)はほとんどみられない.
染色体異常のリハビリテーションについては,欧米ではDown症がよく研究され,社会への適応も実践されている.我が国においても同様で,各地の施設で積極的に治療が行なわれ,それなりの治療効果を挙げている.しかしながら,猫なき症候群に代表されるような,まれな染色体異常症に対する早期からのリハビリテーションは未だ十分検討されておらず,その方法はDown症のプログラムに準じて行なわれているのが現状である.こうした染色体異常症の症状は,個々の疾患と,個々の症例により異なる部分があり,したがってDown症のプログラムが適切でない場合もある.
ここでは猫なき症候群の治療例を中心に述べ,われわれの行なってきた理学療法を検討する.同時に本症候群についても概説する.
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