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講座 理学療法評価・5
運動機能の評価・1―成人;脳卒中片麻痺患者の運動機能評価
著者: 吉尾雅春1 松田淳子1 山﨑賢治1
所属機関: 1協和会病院
ページ範囲:P.349 - P.356
文献購入ページに移動脳卒中片麻痺患者の運動機能の評価法は,Brunnstrom,上田,Bobathら1~10)によるものをはじめ,われわれの知識としていくつか存在しているが,いずれも運動療法を行なう上で十分な情報源になっているとは言えない.すなわち,その結果はある運動や動作がなぜできないかという答を必ずしも示しているわけではない.それを考えることが評価であり,理学療法士の役割ではあるが,その運動障害は複雑であり,その質の部分を解説するに足りる知識をもち合わせていないのが現状である.
脳卒中片麻痺患者の運動障害は多種多様であり,しかも検者の視点によってそのとらえかたはさまざまである.また,対象に高齢者が多いだけに,その臨床像をただ単に片麻痺としてのみ理解することは好ましい結果を導くとは言い難い.脳の障害部位や病前の活動などと合わせ,老化についても十分理解した上で,片麻痺としての運動障害の評価を行なう必要がある.その際,上下肢の機能もさることながら体幹や骨盤帯の運動機能が重要になってくる.
上下肢の運動機能評価については諸家の方法に譲ることにして,ここでは頸,体幹,骨盤帯の役割などにふれながら,その運動機能障害のとらえかたについて述べる.
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