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雑誌目次

雑誌文献

理学療法ジャーナル23巻7号

1989年07月発行

雑誌目次

特集 脳性麻痺の理学療法と手術および装具療法

脳性麻痺の手術療法の適応と効果

著者: 江口壽榮夫 ,   千田益生 ,   越智信夫

ページ範囲:P.446 - P.452

 Ⅰ.脳性麻痺における整形外科的手術の位置付け1)

 脳性麻痺は,(超)早期からの理学療法―神経発達学的アプローチから始められ,幼児期,さらには学童期になると,治療的訓練以外に整形外科的手術,装具療法,そして補装具の使用が取り入れられ,歩行を主とした移動能力と日常生活動作(以下,ADLと略す.)との獲得が計られてくる.脳性麻痺の療育において,患者の年齢的な推移におけるこれら整形外科的治療の役割りについて,著者の考えを図1で説明したい.

 乳児期には可塑性に富む未熟な脳の正常運動発達に向けての訓練に重点が置かれるが,幼児期になって,主として四肢における変形,拘縮を予防,あるいは矯正して訓練効果をあげるために,さらに(補)装具を使って患者の代償機能を利用しての実用的な効果をあげるために,諸々の整形外科的およびリハビリテーション医学の治療―整形外科的手術,フェノールブロック,装具療法,ギプス療法,補装具―の必要度が年齢とともに増加し(図では上向きのカーブで表示),これが学童期に持続し(図では上向きのカーブが梯形の上辺を示すように延長されて表示),その後は患者が移動手段として使用している補装具やADLに必要な自助具は引き続き使用されることが多いが,フェノールブロック,装具療法,ギプス療法はあまり行なわれなくなり(図ではカーブの下降で表示),整形外科的手術も,変形,拘縮の再発例や未治療者,あるいは重度の障害者における変形,拘縮,脱臼,さらには頸椎症などの治療に限定されてくるという流れを示している.

脳性麻痺の手術および術後の理学療法

著者: 深瀬宏 ,   渡辺隆

ページ範囲:P.453 - P.458

<第一部:脳性麻痺の手術療法>
 Ⅰ.初めに

 脳性麻痺の治療は,近年Bobath法,Vojta法の導入により,0歳から積極的に行なわれ,障害の軽度化が得られるようになり,格段の進歩をとげた.にもかかわらず,学齢期になってもなお変形が強く,歩容や機能が悪化したり,正常な股関節像を示していたものが,学齢期前後に股関節脱臼まで進展することがある.このため手術によって,変形を矯正し,歩容および機能の改善を図ることがある.もちろん手術は補助的手段であり,変形を増悪させたり,機能を低下させてはならない.手術では,手術筋の筋力および機能は著明に低下する.このため術後の筋力増強,筋平衡の改善のための訓練はもっとも重要である.したがって手術成績は,手術結果そのものよりも,術後の訓練および装具装用の徹底など術後の管理がきわめて重要であることは言うまでもない.

 以下,脳性麻痺治療における上下肢の差異および下肢鋏様変形,股関節脱臼,足部変形に対する手術の基本について論述する.

脳性麻痺の手術および装具療法と理学療法とのかかわり

著者: 田原弘幸

ページ範囲:P.459 - P.464

 Ⅰ.初めに

 正常児における運動発達は新生児からの発達段階に応じて,その基礎となる運動要素の学習によって行なわれている.脳性麻痺児の場合は異常な緊張性反射,筋活動のアンバランスなどによって特有な肢位・運動パターンが学習される.そのために運動発達は量的にも,質的にも負の影響を受けることになる.これらの問題に対して,理学療法では主としてファシリテーションテクニックなどの運動療法を可及的早期から実施している.しかしながら,残念なことではあるが拘縮・変形が徐々に発生し,それ以降の運動発達に偏在性をもたらすことがある.このような場合,手術および装具療法が有用であるという考えは既定のものとされている.最近の油川ら1)の調査によると,施設における全入園児の装具装着率は51.9%で,手術は全入園児の約30%に施行されているとある.

 これらの適用に当たって,臨床では次のような二つの経過を経ているようである.

 ①拘縮・変形の改善(時に,予防という観点から用いることもある.)と機能の向上とを期待し装具療法を治療プログラムに取り入れる.しかし,結果として装具の効果にも限界があるので期待するような改善が得られなくて,同じような目的で手術が実施されることとなる.

 ②痙性が強く,拘縮・変形が強度であったり,未治療のため強度の変形をもつ症例では逆に,最初に手術を実施し,その後療法の一つとして装具療法を行なうことがある.

 いずれにしても,手術および装具療法が実施されるに当たって,その時期・内容などについては脳性麻痺の運動障害が多様な面をもつので理学療法士の判断と医師の判断とに不一致を生じることがある.また,その結果における効果判定についても同じようなことがみられる.そこで,まず全国の脳性麻痺治療に携わっている理学療法士へのアンケート調査を行ない,施設での現状を明らかにする.次に,理学療法士と医師との間の判断のくい違いについて分析し,このような場合どう考えればいいかについて,浅学であるが筆者なりに臨床経験を交じえながら述べることにする.

脳性麻痺の理学療法と装具療法の効果

著者: 森本晋一 ,   鈴木恒彦

ページ範囲:P.465 - P.470

 Ⅰ.初めに

 ここ十数年来,脳性麻痺療育において,乳児期の治療期間中に獲得される基本的運動能力や発達程度は飛躍的に進歩した.とりわけその中で理学療法の果たした役割は大きく,さらにその大部分が,胎児期から乳児期に及ぶ神経生理学的発達にその基本を置く神経生理学的治療法によってなされてきたことは,よく知られている.すなわち,正常な発達をたどる胎児・新生児・乳児が,あのような短期間のうちに,どのような脳のメカニズムによって複雑で協調的な運動を身につけるのかについて,これまでのあらゆる経験を動員し,それらを最新の神経生理学的知識によって裏付けていこうという考えかたに基づいた方法である.

 このような基本的な考えかたを踏まえて,脳性麻痺療育の中では,理学療法と整形外科的処置(手術や補装具)とは,従来にも増して密接な補完的関係にあることが明らかになっており,むしろ幼児期以降の療育の中では,手術の適応や補装具の種類とその使い分けは,理学療法を援助し治療の新たな展開をもたらす手段として,家庭・学校での扱いかたを含めて,現在不可欠な要素となっている.

 このうち脳性麻痺の理学療法の中で装具を用いることは,従来からも伝統的に行なわれてきたことであり,その適応は主に,①変形の予防・矯正,②術後の矯正肢位の保持,③術前のテスト,④不随意運動のコントロール,⑤望ましくない関節運動の防止,⑥患者の支持ならびに機能の改善,⑦筋力低下のときの支持,⑧機能訓練の補助,⑨教育訓練機器,が挙げられている1).そして,麻痺のタイプや部位によってそのおおよその基本的用いかたは決まっていると言えよう.

 しかし周知のように,脳性麻痺の病態像は,同一患者ですら,その年齢や活動程度と範囲(知的なものも含めて),環境などにより大幅な変化を示すため,実際にはこれらの原則は,症例ごとのその都度の特異的適応として考えるのが通例と思われる.すなわち,理学療法を行なう子どもの年齢と相応のADLに対して,発達の遅れに伴った欠落する基本的能力の補完,また予想される異常性の増悪(異常発達)に対する予防的な処置の一翼として装具療法が求められてこよう.日常の理学療法場面で,われわれが頻繁に遭遇する症例を通して,脳性麻痺の理学療法と装具療法とに関してその効果的managementについて考えてみたい.

脳性麻痺児に対するNDT実践と整形外科手術および装具療法

著者: 紀伊克昌 ,   大川敦子

ページ範囲:P.471 - P.476

 Ⅰ.脳性麻痺児に対するNDT原則

 脳性麻痺児に対してNDT(神経発達学的治療)を実践する際,以下を原則としている1)

 ①筋肉トレーニングよりも中枢神経系に関与するパターントレーニングが必要である.②正常児発達の連続性と競合性を適切に応用する.そして可能な限り運動機能を発達させる.③症例によっては装具療法も外科的処置も加えて,子ども自身の生活自立度を高める.④異常発達に対する日常生活の管理と援助,そして,知的発達と教育的配慮とを促進するための両親指導が重要である.さらに,豊かな情緒と社会適応とを備えた成人に成長するように,子どもにかかわる多くのプロフェッションが一致して,長期間援助し続けることが必要である.

とびら

コンピュータ理学療法

著者: 丸山仁司

ページ範囲:P.445 - P.445

 現代社会ではコンピュータ(パーソナルコンピュータ)が非常に広く普及している.病院でも保険点数計算,検査,診断装置などに広く使用されている.理学療法部門では検査測定装置,治療装置もコンピュータで制御されている場合が多くなってきている.研究面ではコンピュータがなければ研究ができないような状況にもなっている.研究のための装置はアナログ-ディジタル変換器が装備されたコンピュータとセンサーがあれば,他の装置は必要が無くなっている.以前の研究室にはデータレコーダ,オシロスコープ,記録装置などが必ず必要であったが,今では過去の遺物になりつつある.教育面では理学療法学科のカリキュラムの中に情報工学の講義があり,コンピュータのプログラム演習などが行なわれている学校もある.

 コンピュータ理学療法とは何を指すのかは定かでない.その一部分として,理学療法の検査装置,治療装置のコンピュータ化がある.例えば,関節可動域,筋力強化,歩容改善などの機械化(ロボット化)である.理学療法士がその治療装置の選択決定を行なう.しかし,装置の選択のみではなく,治療法の選択,変更などもコンピュータが関与してきている.過去の患者資料の蓄積から予測され回復過程を患者に当てはめることにより理学療法の進行度合がわかり,その進行度合によりプログラムの変更などが行なわれている.今後,理学療法士の業務内容が異なり(理学療法士は何をしたらよいのだろうか?),コンピュータ理学療法が理学療法の科学性の1パラメータになるのではないかと考えられる.

講座 理学療法評価・7

運動失調・平衡機能の評価

著者: 洲崎俊男 ,   淺井仁 ,   奈良勲

ページ範囲:P.477 - P.484

 Ⅰ.初めに

 われわれ理学療法士は,臨床場面において運動失調を呈する患者を担当する機会も多い1~10).しかし運動失調の原因疾患は多岐に及び病態生理学的にも複雑でかつ臨床症状が多種多彩なため,それの対応は非常に困難である.

 特に我が国では諸外国と比較して運動失調への関心が強い.厚生省が1975年に脊髄小脳変性症を特定疾患として取り上げ調査研究班を発足させ,さらに1981年より運動失調症と名称を変更して調査研究を継続させたことが関心の強さにいっそう拍車をかけたものと思われる.

 運動失調の理学療法11)として,主にFrenkel体操12,13),重量負荷法14),PNF法15~17),弾性緊縛帯法18~20)などを用いた基本動作の反復訓練によって一応の成果が得られている.その運動失調に対する個々の治療効果の裏付けや検査・測定においては,1980年代より飛躍的に開発されてきたME機器が用いられ,さらにデータの定量化(客観性)が推進されるようになってきた.

 今回運動失調・平衡機能の評価について執筆する機会を得たので最近の動向を中心に整理し,要約したい.運動失調は原因疾患別区分も重要であるが臨床的には小脳性,脊髄後索(深部感覚)性および前庭・迷路性の三系統21,22)に大別して整理されるのが通常である.

 まず,PartⅠにて運動失調の臨床的評価について述べる.また,立ち直り反射および平衡反応に関した平衡機能の評価については,PartⅡとし臨床および基礎研究を併せて述べる.

哲学・1

哲学の始まり

著者: 内山勝利

ページ範囲:P.485 - P.490

 Ⅰ.哲学の根源

 すべての人間は,生まれつき,知ろうとする欲求をもっている.感覚への愛着がその証左である.つまり,感覚はその有用性を別にしても,それ自体のゆえに好ましいものとされ,中でもとりわけ目による感覚が好まれる.事実,われわれは,行為のためばかりでなく,何も行なうつもりがない場合にでも,言わば他の何事よりもさきに,まず見ようとするのであるから.

 (Aristoteles『形而上学』A巻第1章980a 1-6)

 哲学とは知的感動に生を賭けることであると言ってもいいのではないか.しかも,知そのものよりも感動という生き生きとした心の状態が,より重要な要因をなしているように思われる.とすれば,それはわれわれの日常の生の地平を越えたものでありながら,同時に,日常的経験のすみずみにまで深く行きわたっている精神活動の一側面にほかなるまい.ふと身近かな何事かに興味を引かれる瞬間の心のひらめき,美しい花に見とれているときの心の喜びなどに,哲学はすでにもっとも純粋なしかたで兆(さざ)しているのである.

プログレス

培養皮膚

著者: 塩谷信幸 ,   古山登隆

ページ範囲:P.491 - P.491

 われわれの日常の診療において,重度熱傷のようにその皮膚が全体にわたって失われたような場合は,皮膚移植が必要になる.しかし,熱傷面積が広範囲になればなるほど,創面を一時に被覆するための,健常な皮膚が残っていない場合が多い.そのような場合,これまでは,わずかに残っている健常皮膚を時期をおいて,繰り返し採皮して少しずつ創面を被覆してきた.しかし,そのため治療期間が長引くことによりその間に敗血症や臓器不全を生じて死亡することも多かった.

 最近,生体組織を構成する細胞を生体外に取り出し,培養系で細胞を増殖させ臓器,器官を生体外で再構成させ,生体内に戻し永久に生着させ,その機能を維持させる試みがなされており,その中でも培養皮膚はもっとも進んだ領域と言える.

PT最前線

リハビリテーションの手ほどきに,中国へ―技術協力のために3度渡中された川井伸夫氏

著者: 本誌編集室

ページ範囲:P.492 - P.493

 日本から中華人民共和国への技術援助という最前線.社会体制の違う国に入ってみて味わった彼我の違い.川井氏に,あちらのリハビリテーション事情などうかがった.

あんてな

業務指針策定の動き

著者: 菊地延子

ページ範囲:P.494 - P.494

 日本理学療法士協会では現在,理学療法士の業務指針作成のための検討,資料収集に当たっている.

 「業務」とは毎日行なう仕事であり「指針」は物事を進める方針・手引きであると広辞苑に記されており,要は仕事を行なうためのガイドラインと言うべきものである.

雑誌レビュー

“Physical Therapy”(1988年版)まとめ

著者: 吉元洋一

ページ範囲:P.495 - P.498

 Ⅰ.初めに

 アメリカの理学療法協会誌である“Physical Therapy”は,1988年で第68巻と版を重ね,文字どおりアメリカだけでなく国際的にもよく読まれている理学療法の雑誌である.

 “Physical Therapy”に掲載されている論文は,年々増加の傾向にあり1988年度版では138編に達している.その内訳を本誌の分類に従うと研究(Research)76編,実践(Practice)31編,教育(Education)13編,管理(Administration)2編および特集(12月号)16編である.そのほかに協会誌としての活動や情報が掲載されている.ちなみに『理学療法ジャーナル』の前身である『理学療法と作業療法』の1988年度版では,特集67編,研究と報告・短報・症例報告など17編であり,その他を加えると約170編が掲載されている.社団法人日本理学療法士協会の機関誌である『理学療法学』の1988年度版では,学会特別号を除き年6回の発行であるが,全国研修会の特集や日本理学療法士学会の特別講演などが掲載されており,その総数は研究会などの報告を除き約80編である.日本理学療法士協会ではこれを月刊誌として年12回の発行を検討しているが,内容ともに“Physical Therapy”に近づける機関誌にしてほしい.

 次に“Physical Therapy”を筆者なりに分類すると基礎的研究12編,物理療法関係15編,測定・評価関係21編,運動療法関係35編,教育関係17編,運動学関係14編,その他8編となり,12月号には“足部・足関節”の特集として16編が掲載されている.これらすべての分野について解説することは筆者の能力を越えているため,筆者が興味をもった論文と特集とを中心に紹介したい.

原蓍

進行性筋ジストロフィー症患者の体幹筋力と坐位保持能力との関係

著者: 小堀泰生 ,   武田洋子 ,   川淵一美 ,   立野勝彦 ,   奈良勲

ページ範囲:P.499 - P.502

 Ⅰ.初めに

 Duchenne型進行性筋ジストロフィー症(以下,DMDと略す.)は進行性であるため,定期的に徒手筋力テスト(以下,MMTと略す.)によって筋力を測定することは重要だが,体幹の筋力に関する文献は少ない.この理由は,症状が進行したときに体幹のMMTを行なうと,頸部を屈曲できないことや股関節の屈曲拘縮によりテスト肢位を正確にとらせることができないなどの種々の困難があるからと思われる.赤松1)は体幹屈曲筋群のMMTで頸部を屈曲できない場合には,被検者の頭部を検者が保持することを提唱しているが,介助量を一定にするのが難しく,正確なテスト判定は困難であると思われる.このためDMDの体幹筋力を測定するにはストレインゲージを用いるのが適当であると考える.

 DMDの体幹筋群は坐位保持に際し,よくその機能が発揮されると思われる.そのようなことから,今回ストレインゲージを用いて体幹の屈筋群と伸筋群との筋トルク値を測定するとともに,それらが坐位姿勢の保持能力に及ぼす影響を調べ,若干の知見を得たのでここに報告する.

クリニカル・ヒント

体幹の動きを重視した治療の展開

著者: 井口恭一

ページ範囲:P.503 - P.505

 手足は体幹に付いているにもかかわらず,多くの場合,主に麻痺や罹患関節が手足に有ると,手足に目が向いて,そこにのみ治療訓練を集中する.手足の関節に問題が有るとしても,それの影響は体幹にも及び,機能障害をより悪くする.

 筆者はまず全身調節も兼ね,他の余分な制限などを取り去るように,体幹の動き,特に体軸回旋運動を主軸に組み立てる体幹訓練から治療を開始,効果をあげている.

プラクティカル・メモ

スワンネック変形に対するテーピングの試み

著者: 小林司 ,   佐藤昭彦 ,   村田博之 ,   小田ひろみ ,   黒沢信 ,   恩地圭典

ページ範囲:P.506 - P.507

 1.初めに

 日常生活の中で,手の果たす役割は大きく,特に指の変形はアライメント,ピンチ力の低下などから種々の巧緻動作に支障をきたす.その予防・矯正手段として,通常,指用小型(逆)ナックルベンダ・8字型などの装具が用いられている.しかし,これらの装具は重量および嵩張りなどの点から巧緻動作を阻害することもあり,必ずしも機能的とは言えなかった.そこで今回,特にスワンネック変形に対してテーピングを試みたので紹介したい.

1ページ講座 臨床検査値のみかた・7

「血液疾患・凝固異常」

著者: 江藤文夫

ページ範囲:P.509 - P.509

 XIV.血液疾患・凝固異常

 貧血の病態生理はすでに解説されたごとく興味深いものであり,脳や心筋への血流増加や心拍出量は増加するが血圧は上昇しないなど貧血患者の臨床症状が理解される.一方,貧血を生じる疾患は多数あるので,表1に示す正常値から逸脱した数値を知るだけでは診断はもとより,治療にも情報は不十分である.今回は貧血にも関連した血液疾患の中から凝固線溶系異常について紹介する.

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文献抄録

ページ範囲:P.510 - P.511

編集後記

著者: 鶴見隆正

ページ範囲:P.514 - P.514

 6月4日の北京からの第一報は世界中を震憾させ,人々に憤りを感じさせました.わずかしか離れていない隣国で,あのような血の弾圧が行なわれているとは…….奇しくも「PT最前線」の川井氏とを重ね合わせ複雑な思いがします

 さて,本号の特集は「脳性麻痺の理学療法と手術および装具療法」です.脳性麻痺の治療法はBobathのNDTやVojta法などを用いた早期治療訓練が定着してきていますが,治療訓練のみによる運動機能改善には限界もあり,適切な時期に手術や装具療法などを組み合わせたアプローチが求められています.そこで今回,これらに論点を当て脳性麻痺医療の指導的な方々に執筆していただきました.

基本情報

理学療法ジャーナル

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1359

印刷版ISSN 0915-0552

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