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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル23巻8号

1989年08月発行

文献概要

講座 哲学・2

哲学の立場

著者: 有福孝岳1

所属機関: 1京都大学教養部

ページ範囲:P.551 - P.556

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 哲学の立場とは,そもそもどういう立場なのであろうか.立場(Standpoint,Standpunkt)とはもともと入が「立っている場所」であるが,普通は,その人の考えかた,信条・依りどころとしての根本前提をなすものである.そして,「哲学(Philosophia)」は,古来より,「知恵(Sopia)への愛(Philos)」と言われ,したがって,「哲学者」とは「愛知者(Philosophos)」である.そうすると,この「知恵(Sophos)」とは一体全体何を意味するのであろうか.このことばは,単に「理論的知識」のみならず「実践的智慧」も,さらには「制作的技量」をも意味するであろう.そのように「哲学」が錬磨すべき「知恵」は多様であり,一義的には決定し難い.したがって,この「知恵」を与えてくれるいろいろな契機―つまり,哲学のいろいろの立場―を考察することによって,その諸契機間に通底する何ものかを見いだすことができるときに,ならびに哲学の立場と哲学以外の立場との相違とを明らかにすることができるときに,われわれは求められている課題に初めて答えを見いだすことができるであろう.それゆえ,われわれは以下において,まず,第Ⅰ章においては,Aristotelesの考えかたを参考にして,哲学知の三つの立場(理論・実践・制作)を際立たせ,第Ⅱ章においては,Kantに依拠しつつ,哲学の諸学科(形而上学・道徳・宗教・美学)の立場の特質を,最後に第Ⅲ章においては,常識と科学の立場に対する哲学の立場の特有性をそれぞれ明らかにしようと思う.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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