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特集 筋萎縮性疾患
Duchenne型筋ジストロフィー症のリハビリテーション―生命予後と心肺機能障害の管理を中心に
著者: 里宇明元1 千野直一2
所属機関: 1国立療養所東埼玉病院リハビリテーション科 2慶應義塾大学医学部リハビリテーション科
ページ範囲:P.607 - P.614
文献購入ページに移動Duchenne型進行性筋ジストロフィー症(以下DMDと略す.)は,比較的均一な経過をたどる予後不良の進行性疾患である.その自然経過の概略は1),まず,処女歩行は17-18か月とやや遅延し,このころより下腿三頭筋の仮性肥大が認められる.3-4歳ころ,動揺性歩行に気付き受診する例が多く,その後,機能障害は段階的に進行し,8歳で階段昇降不能,9-11歳で歩行不能となる.装具により,13歳ころまでは歩行が可能になるが,15歳ころには座位保持不能となり,末期には呼吸不全,心不全を合併して,18から20歳前後で死に至る.このように特徴的な障害の進行により生じてくる種々の問題に適切に対処し,患児のquality of life(QOL)を高めていく上で,リハビリテーションは重要な役割を果たす.本稿では,まず,DMDの生命予後について概説し,さらに心肺機能障害に焦点を合わせ,その自然経過,病態,治療上のポイントおよび運動負荷との関連について解説を加える.
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