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特集 筋萎縮性疾患
Duchenne型筋ジストロフィー症のADLとその対応
著者: 野々垣嘉男1 堂前裕二2
所属機関: 1名古屋市立大学医学部附属病院 2国立療整所鈴鹿病院
ページ範囲:P.615 - P.625
文献購入ページに移動筋ジストロフィー症はさまざまな遺伝形式をもった筋原性疾患1,2)の一つで,その中でも比較的に頻度の高いDuchenne型筋ジストロフィー症(Duchenne Muscular Dystrophy:DMD)は,1868年に報告3)されて以来,原因の究明と治療法の確立に努力が積み重られてきたが,未だ根本的な治療法はもとより対症療法も確立されていない.
DMDは男児のみに3歳ころに発症し,骨盤帯筋より筋力低下が始まり,漸次遠位筋諸筋に波及し種々の運動機能や能力障害が不可逆性に経過する,宿命的な終結により20歳ころに生涯を終わる4).
野島ら5)はDMDのリハビリテーション理念について,あらゆる手段を尽くして機能障害・形態異常(impairment),能力障害(disability)の発生の遷延を図り,機能の保持に努めることにあると述べ,Price6)は治療や運動療法の成果が不安定であり,結局は悪化し心身の発達する途上にある時期に,運動機能が喪失していくことは,人格形成・精神的な成熟や生活意欲に強く影響を及ぼし,したがって“自立と趣味活動”や“生き甲斐”に援助することが必要と述べている.
このような現状下におけるDMDの日常生活動作(activities of daily living:ADL),特に立位歩行動作,起居動作,身の回り動作などの能力と経過および対応について述べたい.
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