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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル24巻1号

1990年01月発行

文献概要

特集 脳血管障害

退院後の維持的リハビリテーションと生活指導

著者: 福屋靖子1

所属機関: 1筑波大学心身障害学系

ページ範囲:P.19 - P.24

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 Ⅰ.初めに

 脳血管障害者のリハビリテーションにおいて,退院後も維持的サービスが必要なケースは少なくない.

 維持的リハビリテーションという語の定義はまだ明確にはされておらず,曖昧に用いられているように思う.入院中に予測し設定された退院後の“リハビリテーション目標が,退院後に実現でき,心身の機能低下が起こらずに生活が維持できるために必要なリハビリテーション援助”を指してここでは“維持的リハビリテーション”の語を用いることにする.

 しかしながら,在宅障害者の実態からみて文字どおり維持されていると思われる人も概略的に眺(なが)めた場合には皆無ではないが,多くの場合一定の所にとどまっておらず,改善するか低下するかのどちらかに分けられるように感じている.impairementレベルからみた評価だけは可能かとも思われるが,在宅生活においては心身の機能と生活能力とが相互に絡み合い,評価法においても分けることが困難な現状にある.というのは,impairementレベルの評価にはWHOの国際障害分類試案1)によるまでもなく,耐久力や睡眠や精神機能や心理的状態までが含まれてくるからである.

 機能低下が起こらないように生活を組み立てて軌道に乗ると,結果的にみると筋力や耐久力がつき精神機能や心理的状態にも良い影響が出て改善がみられることが多い.

 したがって,維持的リハビリテーションということばは実状においては,“心身の機能や生活の機能が低下しないように行なうリハビリテーションサービス”を意味していることと解釈して用いることにする.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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