文献詳細
文献概要
原著
健常者におけるF波の特性―等尺性収縮時および安静時における比較
著者: 鈴木俊明1 武田功1 藤原哲司1
所属機関: 1京都大学医療技術短期大学部
ページ範囲:P.49 - P.52
文献購入ページに移動中枢神経疾患の理学療法にはさまざまな方法があり,その中において神経生理学的アプローチの有効性については賛否両論がある.三好1,2)は神経生理学的アプローチは非科学的であると報告しているが,柳沢ら3,4),藤原ら5)は,H波を利用して神経筋促通手技の効果判定を電気生理学的に説明している.筆者らも,神経生理学的アプローチの中での多くの促通および抑制手技を電気生理学的に説明することを目的として,今回はF波を用いて検討を行なった.
F波は,1950年Magladeryら6)により報告された.当時は多シナプス性反射波と考えられていたが,その後の動物実験において脊髄後根を切除してもF波が消失しないこと7),また健常者において,純粋な運動神経である顔面神経からF波が導出されること8)や,その他の研究9)などから,現在では運動神経を逆行性に上行したインパルスが脊髄前角細胞を経て再び運動神経に戻り,支配領域の筋から導出されると考えられている.
筆者らは前報で,健常者における安静時F波についての基礎的研究を発表した10).今回は導出筋を収縮させた場合の神経機能を検討するために収縮時F波を検索し,さらに健常者の対象数を増して安静時F波との比較を行なったので報告する.
掲載誌情報