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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル24巻10号

1990年10月発行

文献概要

報告

求心性・遠心性収縮による膝屈・伸筋力低下の比較

著者: 市橋則明1 伊藤浩充2

所属機関: 1神戸大学医療技術短期大学部 2神戸大学医学部附属病院

ページ範囲:P.713 - P.715

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 Ⅰ.初めに

 大腿四頭筋とハムストリングスは,立ち上がり動作や歩行など日常生活を行なう下肢動作において非常に重要な筋である.また,動作時には求心性収縮や等尺性収縮だけでなく,遠心性収縮も必要と考えられる.特に,しゃがむ動作1)や階段昇降時2,3)には遠心性収縮が重要とされている.

 筋力評価の方法としては,近年,等速性筋力評価が健常者や患者における筋力特性を測定するために使用されている.過去の研究では,トルクと収縮速度の関係4~10)や主動作筋と拮抗筋のトルクの割合10-13)が健常者において報告されている.しかしこれらの報告の多くは,求心性収縮による筋力(以下,CON筋力)を測定しており,遠心性収縮による筋力(以下,ECC筋力)を報告したものは比較的少ない.ECC筋力の研究は,Doss14)らによって報告され,肘関節屈筋のECC筋力がCON筋力よりも約40%大きかったとしている.その後の研究によりECC筋力がCON筋力よりも大きいことは認められている6~8,12,15~21).しかし遠心性収縮の研究は,健常者を対象としたものが多く,患者を対象に求心性収縮と遠心性収縮との比較をなった報告は少ない.

 本研究の目的は,大腿四頭筋とハムストリングスの筋力低下を有している患者の求心性収縮と遠心性収縮による筋力を測定し,筋力低下の程度の違いを比較検討することである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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