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入門講座 理学療法プログラムの立てかた・2
整形外科疾患に対する理学療法プログラムの基礎―特に代表的疾患についで
著者: 中村武司1 山本修1 岡半1
所属機関: 1健康保険鳴門病院リハビリテーション科
ページ範囲:P.99 - P.103
文献購入ページに移動骨・筋・腱・靭帯などの損傷の治療のさい,初期治法として局所を安静ないし固定する治法が追加されるのが常である.その目的は局所を安静ないし不動性にすることで,損傷部位を望ましい肢位に保つと同時に運動痛を軽減することにある.
問題は,損傷部位に処方される安静や固定である.安静ないし固定のメリットとして,局所の良肢位の保持と運動痛の軽減とがある.デメリットとして,安静ないし固定により生じる骨・筋・腱・靱帯の萎縮・短縮・癒着に起因する関連関節の拘縮や筋力の弱化である.この続発する拘縮や筋力弱化は時として長期間にわたって遺残し,後の理学療法にも強く抵抗する場合がある.
理学療法の目的は,前述の治療過程におけるメリットを生かしながら,デメリットをより少なくする治療を実施することにある.
生体が生体であることの大きな特徴の一つに,生体組織ではつねに破壊と再生が繰り返されているという事実がある.生体が再生を繰り返すためには,局所につねに新鮮な血液の補給が必要である.この血液の補給において,局所の筋運動の果たす役割は大きく,筋ポンプ作用として知られている.
理学療法の処方にさいし,筋ポンプ作用の促進はたいせつである.理学療法のスタートは初期治療後に始まるのではなく,初期治療と同時にスタートしなければならない.治療法に初期治療法と後療法がある如く,理学療法プログラムにおいても初期プログラムと後期プログラムが存在するのである.
ある疾患に理学療法が処方されるさい,まず先行するのが初期治療である.理学療法プログラムは,初期治療の方法によっても大きく影響を受ける.そこで理学療法プログラム作成の原点を,次の順序で検討することにする.
まず代表的疾患とその治療法を述べ,この治療過程における理学療法面からみた問題点を列挙し,その問題点に対する理学療法よりみたアプローチを述べる.最後に,疾患に対する理学療法プログラムの要点をポイントにして記す.
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