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雑誌目次

雑誌文献

理学療法ジャーナル24巻3号

1990年03月発行

雑誌目次

特集 苦労した症例報告集

―骨・関節疾患―ROMと筋力の訓練効果の見直し―訓練のしかたの体得に着目して

著者: 岡西哲夫

ページ範囲:P.140 - P.144

 Ⅰ.初めに

 骨・関節疾患の運動療法の主眼は,早期にROMと筋力とを回復させることにある.しかし,この言い尽くされた二つのことを,どのように適切に,かつ効果的に行なっているか,また,その効果を上げるために,患者にどのように訓練方法を体得させているかがつねに問題となる.反省させられ,苦労した症例もこの点に集約されるように思う.

 今回は,このROMと筋力との二つの訓練方法の効果を症例を通して見直してみたい.

 症例は肩関節手術例として人工骨頭置換術後2例,股関節手術例として,両変形性股関節症に対する一側のChiari骨盤骨切り術(以下Chiari手術と略す.)後,他側も同様な手術を受けた患者1例である.

―重複障害―片麻痺に大腿切断を合併した重複障害例のリハビリテーション

著者: 小嶋功

ページ範囲:P.145 - P.150

 Ⅰ.初めに

 欧米諸国においては血行障害を原因とした下肢切断は80~90%を占めているが,我が国では30%を越える報告は無い.米国では約80,000人が下肢切断となり,その大半は下腿切断であると言われている.

 下肢切断者のリハビリテーションは血行障害によるものに関心が置かれているが,その中で,片麻痺に下肢切断を合併した重複障害は比較的まれではなく,OConnell1)らは高齢の血行障害によって下肢切断が先行し,その後片麻痺を合併したものは約10%であったと述べている.また,低いものでも4%,高いものでは29%であったと報告している.当センターにおける同様の統計では2.8%であった.

 今回,閉塞性動脈硬化症を起因とした脳血栓による左片麻痺・左下肢動脈閉塞による左大腿切断・心筋梗塞を合併し,さらに脳血管障害を再発して徐々に機能低下を示した症例を対象に,義足装着の適応と限界,問題点,ゴールセッティングなどのリハビリテーション遂行上きわめて困難な問題を有した症例を経験したので,考察を加えて報告する.

―脳血管障害―動作維持不能症(MI)の一症例

著者: 貴田正秀

ページ範囲:P.151 - P.154

 Ⅰ.初めに

 私は以前本誌の前身である『理学療法と作業療法』の「とびら」(17(5):283,1983)に書いたが,学生時代(1961年)に解剖学担当の先生が言った一言が,私の理学療法士生活に大きな影響を与えたと確信している.その一言とは「脳」の講義の際に,脳は生体のすべてをコントロールしているが,その機能は,ほとんど解明されていないとのことであった.また,加えて自分も脳を勉強してみて“脳”が痛くなるということであった.

 そのときの明るさの中にも額にシワを寄せながら語られた先生の印象が私の脳裏に強く焼き付いた.ぜひ,機会を作って脳の勉強をしてみたいという強い願望が私の胸中深く宿ることになった.今考えてみて身の程知らずの大望であった.

 ところが学校が卒業して勤務した施設は皮肉にも整形外科疾患が主の施設であり,脳血管障害者(以下,CVA)は常時1~3例のみであった.その青森県内の施設に10年間(3か所)に勤務したが,1973年友人の話で“剖検脳”の指導をしてくれる先生がおられ,理学療法士を募集しているとのことで移った.それは秋田県本荘市の由利組合総合病院で,精神科(分院)を除きベッド数600床,勉強熱心な医師が診察,研究に積極的に取り組んでおられ,活気があふれている病院であった.

 リハビリテーション部は1966年に開設され,1968年に早くも地域活動を実践しており,事に果敢に挑戦しているように感じられた.

 また,リハビリテーション治療を開始して間も無く東京大学の上田敏先生に施設の点検と課題について助言していただいたところ,リハビリテーション関係職員,看護婦の知識技術の向上を目的に現信州大学医療技術短期大学部の伊藤直栄先生に月1回(土曜日と日曜日)の日程で勉強会を実施したほうが良いと言われ,そのとおり実践していた.

 伊藤先生がカナダに留学されるため最後になったその勉強会に私も出席したが,そのとき伊藤先生が「今後の理学療法士の中にも脳の病理を勉強する人がいなくては」と言われたことで,ますます意を強くした.

 今後脳血管障害患者を主に治療するため1か月の日程で東京の伊藤病院(1989年3月でリハビリテーション科閉鎖)で自費研修を敢行し,1973年4月技師長として勤務することになった.

 スタッフは13名で(うち1名が言語療法士),有資格者はいなかった.初めは上司から患者の治療は必要無く管理的なことのみで良いと言われていたが,現実はそんな甘いものではなかった.急性期の脳血管障害患者が年に220~240名入院し,脳神経外科,急性期病棟,リハビリテーション病棟,整形外科の脊髄損傷,骨折患者など,つねに140~150名を治療するのである.あっと言う間に担当患者が20名を越えてしまった.

 病棟廻りは毎日午後5時30分~7時ころである.地域活動に出かける日は,夜9時の消灯時刻ぎりぎりまでかかった.

 しかし不思議と苦労とは思わなかった.毎朝9時から脳血管写真の読みかたの指導を受け,前・中・後大脳動脈などの狭窄・閉塞,また脳血管の圧迫状態から出血部位,出血量の予測を行なうのである.

 今まで教科書を見てわかったみたいでわからなかったことが,担当している患者の脳血管写真であればすぐ理解できた.そして,障害された部位と,大きさとがいかに重要であるか思い知らされた.

 また,土曜日の午後,日曜日,祭日に指導を受けた.剖検脳を観察し,脳損傷は梗塞にしろ出血にしろ立体的なものであり,写真で見る平面的な感覚では意味が無いことも理解できた.

 一方リハビリテーション部を取り巻く情況は決して甘いものではなかったが,好きな勉強のため致しかた無かった.

 勤務して5年目の1989年11月現在,担当した脳血管障害患者500例余中,もっとも苦労する症例に出会うこととなった.

―難病―Parkinson病に対する神経発達学的アプローチ―症例を通して

著者: 曽根政富

ページ範囲:P.155 - P.159

 Ⅰ.初めに

 難病とは,“原因不明で治療方針未確立であり,かつ後遺症を残すおそれがすくなくない疾病”および“経過が慢性にわたり,単に経済的な問題のみならず介護等に著しく人手を要するために家族の負担が重く,また精神的にも負担の大きい疾病”と定義されている1)

 当院ではわれわれが担当する疾患にも神経難病の患者が多く,その中でもParkinson病,脊髄小脳変性症などを多く取り扱う.理学療法士としてどの疾患の患者についても試行錯誤の連続であり,その中から反省したり,勉強させてもらう毎日である.

 今回は,今日まで12年間Parkinson病(若年性Parkinson病)の一症例を担当し,患者さんから学んだ点について報告する.

―小児―側彎を伴った脳性麻痺児―症例における経時的変化

著者: 香月眞佐美

ページ範囲:P.160 - P.167

 Ⅰ.初めに

 新生児医学や周産期医療の進歩,あるいは脳性運動障害の早期発見・早期治療によって,脳性麻痺の発生率は減少していると言われている.確かに核黄疸の減少により従来のようなアテトーゼの発生率は減少し,脳性麻痺の病像のスペクトルムには変化はみられるが,発生率についてはその統計の発表はいろいろで一定していない.しかし医療の進歩とは逆に,脳性麻痺の重症化については意見が一致している.

 脳性麻痺は非進行性の脳疾患であると言われている.出生直後では先天性の脳奇型を除き,骨格や筋肉,関節などの解剖学的形態に異常は無いと思われる.しかし,加齢とともに運動・姿勢の発達障害によって,臨床的には悪化してゆく症例が多い.

 その運動・姿勢の発達障害の中で,歩行可能な脳性麻痺であれば二次的障害による変形・拘縮のため尖足によるAchilles腱の手術や,鋏状歩行のため腸腰筋や内転筋・ハムストリングスの手術などを受けている.また,症例によって四肢の変形のみならず体幹に側彎症を生じ,側彎改善のための手術を受ける場合もある.

 寝たきりの重症の脳性麻痺では,原始反射が残存し非対称性緊張性頸反射様の肢位をとることが多い.顔は一側に向け頸椎の前彎が著しく,燕下障害を伴い経管栄養を必要とする場合もある.また体幹では胸郭や脊柱の変形,Hurison溝や腹直筋の解離が存在し,呼吸機能の障害を生じることもあり,呼吸機能の低下により肺炎を生じ亡くなる重症児も多い.下肢においては,股関節脱臼を生じ観血的に脱臼整復手術を受ける児もいる.

 重症児では,特に股関節脱臼と側彎の発生率が高いことはよく知られれている.

 特に重症脳性麻痺児の場合,二次的障害により患者自身のみならず介護者の負担も大きくなる.

 さらに二次的障害を放置すると,頸椎症や腰痛などの疼痛を生じる場合もある.

 そこで今回,移動能力が腹這い以下の側彎を伴った幾つかの症例を経時的に追跡することで,症例より勉強できたことを述べみたい.

―特殊救急―特殊救急部からの症例の理学療法

著者: 米田稔彦

ページ範囲:P.168 - P.172

 Ⅰ.初めに

 近年,救急医療の進歩に伴ってリハビリテーション医療の領域でも,重度外傷症例の早期からの治療が行なわれている.大阪大学医学部附属病院に特殊救急部が設置され運営を開始したのは1967年8月であるが,それ以後,救命時期を脱した直後の重度外傷患者に対して理学療法を行なう機会が徐々に増加している.

 この論文では,大阪大学医学部附属病院特殊救急部からの理学療法依頼患者の概要,それらの症例に対する理学療法内容および難渋した症例の問題点とその治療を紹介したい.

―呼吸・循環器疾患―一歩踏み出した対応で危険を回避できた三症例

著者: 久保晃 ,   荒畑和美 ,   山本信行 ,   千野根勝行 ,   古名丈人 ,   久寿米木和繁 ,   小沼正臣

ページ範囲:P.173 - P.178

 Ⅰ.初めに

 呼吸循環器疾患,あるいは,それを有する患者の理学療法を行なう場合,われわれ理学療法士は,どちらかというとやっかいさを感じるのではないだろうか.しかし,周知のごとく我が国は,猛烈な勢いで高齢化社会が進行しており,リスク管理は避けて通ることができない重要な問題になってきていると思われる.このような意味を含め,当センターで経験した呼吸循環器疾患の症例報告をしてみる.

―地域リハビリテーション―継続医療活動において実施上苦労した症例について

著者: 伊藤隆夫

ページ範囲:P.179 - P.182

 Ⅰ.初めに

 地域リハビリテーションという分野での活動報告となるが,地域リハビリテーションという概念自体がまだ新しく,また,考えかたとしても統一されたものが無いというのが現状と思われる.そもそもリハビリテーションの真の目的は,単なる身体機能の回復のみにあるのではなく,疾病などを契機に破綻をきたした「生活の再建」にあるとすれば,その概念の中には当然「地域」が含まれ,生活の場である「地域」において,いかに自立した,質の高い生活が展開できるかということが重要な課題となってくる.

 したがって,リハビリテーション医療も病院という場だけで展開されるのではなく,当然「地域」(=生活の場)へのかかわりが必要となってくる.ここで紹介する「継続医療」活動はこのような理念に基づいて,医療機関から地域へのかかわりの一つの形態として位置付けられると考える.

 当院においては,1986年6月よりリハビリテーション専門医が置かれ,リハビリテーションチームアプローチが本格的に開始された.その過程で,病院を退院し自宅復帰していく人々に対して,病院スタッフによる「生活の場」での援助,つまり,継続的な「生活の自立」への援助を提供することが必要なのではないかと考えられた.そして,2か月間の試行期間を経て,1987年4月に継続医療室が正式に発足し,試行錯誤を繰り返しながらも活動を行なってきた.

 今回は,この継続医療活動のシステムと実績の概略とを紹介し,実施上苦労した症例について,その問題点を検討し,今後の地域へのかかわりについても考えていきたい.

とびら

理想の職場

著者: 中野昭二

ページ範囲:P.139 - P.139

 20年間で出張や旅行の機会に,いろいろな病院のリハビリテーションを見学することができました.

 その都度理学療法士の職場の変化した部分とそうでない部分をみることがあり,痛切に時代の変化を感じさせられます.

本の紹介

「今いきいきした公衆衛生活動のために」―全国いきいき公衆衛生の会編集

著者: 山本和儀

ページ範囲:P.182 - P.182

 編著を担当した「公衆衛生いきいきの会」は,全国の保健所で活躍する医師,保健婦などの技術者が中心になって,1988年にできた会である.地域でのリハビリテーションに携わる身としては,日ごろより,保健所との連携のたいせつさを切実に感じており,この会が主催する研修会に出席し,本著を手にした.

 本著は,第1章この本を利用するために,第2章保健所の果たしている役割,第3章活動活性化のための具体的な展開方法,第4章機能別にみた保健所の活動事例,第5章事例の要旨とマトリックス,第6章公衆衛生の基本的考え方,第7章我が国の公衆術生の現状と課題,という構成になっており,保健所と公衆衛生の歴史,現状,今後の方向について積極的な立場から解説を加えている.

1ページ講座 福祉制度の手引き・3

保健所・社会福祉協議会

著者: 山本和儀

ページ範囲:P.183 - P.183

 Ⅰ.保健所

 1)保健所と言っても,理学療法士にとっては,馴染みの薄い機関ですが,理学療法士が地域リハビリテーションを展開するときに,地域側のパートナーとして,活用すべき機関の一つです.

 2)機構について

 保健所には,都道府県型と政令市(指定都市を含む)型との2タイプがあります.つまり,大都市や,都市型の一部の市では,市立の保健所があり,そこでは,保健所の仕事と市の仕事(老人保健法などの事業)の両方をします.

クリニカル・ヒント

運動療法における体軸回旋運動の意義

著者: 楠和佐子

ページ範囲:P.184 - P.184

 体軸回旋運動(以下,回旋運動と呼ぶ.)は動作を円滑に行なわせるための重要な要素の一つであり,またBobath法をはじめとする種々の運動療法手技に用いられてきているが,痙性の抑制など,中枢神経障害の治療のみならず四肢の関節拘縮,疼痛の軽減を含む理学療法全般にわたり基本運動として必要であることを強調したい.

 これから述べるのは,それまで行なっていた治療訓練プログラムに回旋運動を加えることにより,運動機能の質的改善がみられ,その結果日常生活動作能力の向上を獲得した例である.

プログレス

laminectomyとlaminoplasty

著者: 河合伸也

ページ範囲:P.185 - P.185

 脊髄や神経根が圧迫・絞扼されて,神経の刺激症状(痛み,しびれ)や麻痺症状を呈する圧迫性神経障害は日常よくみられる.圧迫・絞扼の原因は多岐にわたるが,脊髄や神経根を容する脊椎の脊柱管が先天性・発育性に狭い状態にあり,あるいは変性(椎間板ヘルニアや骨棘など)・腫瘍・炎症などの二次的変化によって脊柱管が狭くなり,神経が圧迫や絞扼を受けて発症するものである.頸椎・胸椎・腰椎・仙椎のいずれの高位で,しかも脊柱管の中央あるいは側方において認められ,神経の障害される高位と部位によって症状は異なり,さらに障害の程度がさまざまである.

 画像診断や神経の生理機能検査が発達した現在では,圧迫性神経障害の病態はかなり鮮明に把握できる.

PT最前線

閉じこもりの根を引っこ抜く―自主グループづくりに尽力 金沢成志氏/<証言>歌謡曲なら何でも得意雑音楽しや我がギター

著者: 本誌編集室 ,   堀川進

ページ範囲:P.186 - P.187

 杉並区西保健所上井草保健相談所

 「こういう訓練教室の存在自体を知らない人が,まだまだ多い.その人たちをどうするのかもこれからの課題」とおっしゃる.この教室に参加された方々は,その良さをたっぷりと味わうことになる.そして今度は,自分たちでと,変えられる.

あんてな

第一回社会福祉士介護福祉士国家試験の概要

著者: 阿部實

ページ範囲:P.188 - P.190

 1.指定試験機関

 「社会福祉士及び介護福祉士法」に基づき,社会福祉士および介護福祉士の試験に関する事務は,1989年4月1日指定の次の指定試験機関にて実施した.

入門講座 理学療法プログラムの立てかた・3

脳卒中片麻痺の理学療法プログラム

著者: 松本規男

ページ範囲:P.191 - P.195

 Ⅰ.初めに

 近年,脳卒中患者に対する理学療法は,神経生理学的アプローチが主流になりつつあり,さまざまな講習会や研修会が各地で開催されている.同時に,これらのいわゆるファシリテーション・テクニックに対する批判1,2)もみられ,その適応と限界を明らかにすることが早急の課題と思われる.

 ここでは,発症から退院までを,急性期,回復期,退院前に分け,各時期におけるプログラムを立てる際の基本的な考えかたとその実践法について述べる.

講座 リハビリテーションと住宅改造・3

浴室・便所改造の基本的考えかたと改造の実際

著者: 粟津原昇 ,   金子勇

ページ範囲:P.197 - P.204

 Ⅰ.初めに

 老人や身体障害者が浴室・便所を日常利用する場合に,安全性・快適性などを備え,いつでも必要なときに利用できる状況にあることが望ましい.したがって,段差の解消や手すりの設置などのバリア・フリー設計は,機能低下や能力障害を補い,日常生活の自立,安全性の確保や家族の介護の軽滅などをもたらす.

 浴室・便所の改造需要への実践に当たっては,二つの側面から考えることが必要である.一つは,実際に利用する側の問題,つまり改造した場所,設備の利用の容易さ,安全性,快適性,介護負担量の軽減などがどれだけもたらされたかである.もう一つは,改造に要する設備の種類,経費などを考慮した上で理学療法士や建築家などがどのように改造内容を計画したか,の改造施行側の問題である.

 医療機関からの退院前後の時期に,浴室・便所の改造に理学療法士が関与している1)が,筆者は地域で在宅訪問指導(訪問理学療法)を実施する立場から,むしろ在宅生活を送っている時期に実践することが多い.住宅改造には,新築・増築・改築・模様替えがあるが,在宅訪問指導では既存の住宅の改築がもっとも多い.住宅改造(以下,改築の意味)は,障害の程度や内容,既存の住宅構造,家族状況などの多様な条件により画一的な改造は困難である.

 本稿では,具体的な改造例を交えながら,改造施行側の基本的な考えかたについて理学療法士の立場から述べたい.

プラクティカル・メモ

簡易なバネ式足趾運動器具の試作

著者: 浜口知世 ,   辻下守弘

ページ範囲:P.205 - P.205

 1.初めに

 当院では股関節,膝関節の人工関節置換術後や膝関節靱帯再建術後の患者に対して,中山1)が紹介している動的関節制動訓練(Dynamic Joint Control Exercise:DYJOC Ex)をも含めた理学療法を施行している.その中の一つである足趾把握訓練はタオルに重りを載せて足趾でつかみ,たぐり寄せる訓練であり,われわれはそれを早期から行なっている.しかし,この訓練を行なう上で患者の多くは「訓練室の床はカーペットが敷かれており,タオルが非常にすべりにくい.」,「たぐり寄せたタオルを元の位置に戻すのに手間がかかる.」などと訴えていた.そこで,今回われわれはタオルを元の位置に戻す手間も不要で,床の素材にも影響されずに使用できる簡単で安価な訓練器具を製作したので報告する(図1).

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あなたのイラスト

著者: 山崎一

ページ範囲:P.159 - P.159

文献抄録

ページ範囲:P.206 - P.207

編集後記

著者: 吉尾雅春

ページ範囲:P.210 - P.210

 バレンタインデーの収穫はいかがでしたか.ホワイトデーには意中の彼からお返しが届きましたか.多くは義理チョコでしょうが,やはり本命へのプレゼントは胸は熱くなったりしていいものです.人を恋するというのは素晴しいことだと思います.周りのものが何も見えなくなったり,理想とはまったくかけ離れた人を好きになっていたりするから不思議なものでもあります.

 人間は一生のうちに何回恋をするのでしょうか.その都度天に昇ったような気分になったり,地獄の底を彷徨(さまよ)ったりします.結局は失恋してしまい,辛い日々を過ごすことになってもそれは何事にも代えることのできない経験であったことが後でわかります.失恋した彼から,ふられた彼女から学んだことは大きな財産なのです.人間としての『苦労した症例報告集』になります.ぜひ,たいせつにしたいと思います.

基本情報

理学療法ジャーナル

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1359

印刷版ISSN 0915-0552

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