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特集 急性期の理学療法
救命救急センターにおける理学療法
著者: 加藤美佐子1 松瀬多計久1 田代千恵美1 辺土名隆1 小山泰彦1 染谷悦子1
所属機関: 1北里大学病院リハビリテーションセンター
ページ範囲:P.286 - P.292
文献購入ページに移動救命救急センターは,三次救急を主体とした高度の救急医療の場として,救命医療システムの中核として地域医療に貢献することを目的としている.三次救急医療の対象は,原則として“呼吸・循環・神経・代謝の重篤で直ちに生命に危険を及ぼす病態を有し,集中治療を要すると考えられる救急疾患を有する患者”である.
当院では,1986年3月31日救命救急センター棟が開設された.専用の外来や病室,蘇生室,X線室ほかの診療設備が整い,また別棟の熱傷センターの新設,ドクターズカーの整備と旧来のICU,CCUとともに高度の初期治療を必要とする三次救急患者に多種の医療を同時に処置しうるシステムとなっている(図1).このシステムの中で,われわれ理学療法士は,二次的障害の予防,運動機能面への早期アプローチ,さらに,救命後の患者の動向について方針を決定する際にかかわりをもっている.
われわれは,1987年1月より1988年6月までの1年半に救命救急センターから理学療法依頼のあった110名を対象とし,理学療法の現状および患者の動向を調査した1).その結果は図2に示す.理学療法は,発症後早い症例で1日,もっとも遅い症例で45日,平均18.5日から開始されており,脳血管障害,交通外傷,脊髄損傷,熱傷でその大半を占める.すべて集中治療が継続され,リスク管理が理学療法施行上の重要なポイントとなっている.また,患者の動向からその60.5%が転院に至っており,救命を第一の目的とする救命救急センターの特色がうかがわれる.
今回,救命救急センター内でわれわれが多くかかわりをもつ「頭部外傷」,「多発外傷」,「脊髄損傷」,「熱傷」の理学療法について具体的に述べていきたいと思う.また,患者の動向方針を決定する“disposition カンファレンス”を紹介し,さらに救命救急センター内での理学療法士の展望を述べていきたい.
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