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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル24巻7号

1990年07月発行

文献概要

特集 起居動作

起居動作と福祉機器

著者: 廣瀬秀行1

所属機関: 1国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所

ページ範囲:P.435 - P.440

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 Ⅰ.初めに

 最近いろいろな種類の福祉機器が開発されている.これには,社会が高齢化社会に対する取り組みの中で福祉機器に注目し始めたことや,リハ工学カンファレンスでの福祉機器コンテストやデザイン博での車いすデザインコンペ,また福祉機器デザインコンペなどのコンテストが多くなったのも一因であろう.なかなか使用しにくい福祉機器が,多くのアイディアから少しでも障害者にとって使いやすいものが生まれる良い機会である.

 しかし,多くの福祉機器が誕生しそれが有効であっても,個々の障害者の状況が異なるので機器の選択には注意が必要である.その機器が有効に活用されるには,十分な機器のハードとソフトの情報を得て,なおかつ実際に使用できることが必要である.そして,それらの多くの選択肢から専門家の意見を聞き,選ぶことができ,またアフターケアーも可能な機関が必要である.このような機関が早急に全国各地にできることが望まれる.

 さて,福祉機器は使用される環境と障害者の能力とに関係する.障害者の能力に限界があれば,環境を変えるか福祉機器を使うかであるが,機器は環境に非常に影響される.特に移動については畳と段差とはその致命的な影響を与える代表である.

 例えば,車いすに60kgの人体模型を載せ,床を変えたときの静止時から動き始めたときの引っ張り荷重を測定した.また,段差を乗り越えるための高さを中心に操作性を検討した.使用した床は,畳の代わりに泥落としマットと滑らかなコンクリートである.コンクリート上では1kg・fであったのが,マットでは4kg・fと増加していた.また,段差がスムースに乗り越えられるのは10mmまでであった1)

 このように,機器を使用すれば無限の可能性があるわけではないことを明確にし,同時に建築を合めた環境側との効率の良い共存が必要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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