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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル24巻7号

1990年07月発行

文献概要

特集 起居動作

四肢麻痺患者の起居動作の指導とくふう

著者: 椎野達1

所属機関: 1総合せき損センターリハビリテーション科

ページ範囲:P.453 - P.457

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 Ⅰ.初めに

 頸髄損傷者の起居動作は,大きく二つに分けられる.一つは床上動作,もう一つは車いす上の動作(躯幹の前屈,起き上がり,下肢のコントロールなど)である.この動作は日常生活動作(トランスファー,更衣動作,排尿・排便動作など)の基礎動作となり,非常に重要な動作と考えられる.しかしこれらの動作を獲得するためには,半年から1年の基礎体力作りのためのトレーニング期間と1年以上の動作訓練期間が必要であり,この間理学療法士と患者はマラソンランナーのように短期目標を幾つも設定し,訓練をしながら忍耐と努力の日々をゴールを目指して送らなければならない.この基礎体力作りの期間がもっとも重要であり,この間の努力の結果として,何らかの動作能力が獲得できると考えられる.

 一つの動作を獲得するためには,筋力と持久力,そして四肢および体幹の柔軟性および動作の習熟が必要である.このとき,人間は考える葦であり道具を使ったり,くふうすることで動作の獲得が容易になる場合も多い.

 頸髄損傷者の動作訓練のポイント,器具,車いす処方上の考慮点などについて,Zancoliの分類表(せき損センターの判断基準を用いる.)に基づいて述べる.その際起居動作をはじめ各種の動作は,stabilityを確保して初めてmobilityが生じるので,この点に注目して,以下,床上動作訓練,車いす動作訓練,トランスファー,頸髄損傷者用車いす処方上の考慮点について述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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