文献詳細
文献概要
とびら
息と生
著者: 土田正勝1
所属機関: 1諏訪赤十字病院
ページ範囲:P.3 - P.3
文献購入ページに移動 肺理学療法を始めるようになってから,感動的場面に遭遇することが多くなった.
灼熱の太陽が照りつけるある日の昼下り,人工呼吸器より離脱に成功した終末期にあるALS患者の搬送に主治医,看護婦とともに救急車に乗り込むことになった.路面は悪く,時々大きく揺れる.その度に水様性の痰が気道を塞ぐ.「吸引,吸引!」狭い車の中は正に戦場のような騒ぎである.「お父さん,しっかりして!」妻の必死の叫びの中でうつろな目がうなずく.
灼熱の太陽が照りつけるある日の昼下り,人工呼吸器より離脱に成功した終末期にあるALS患者の搬送に主治医,看護婦とともに救急車に乗り込むことになった.路面は悪く,時々大きく揺れる.その度に水様性の痰が気道を塞ぐ.「吸引,吸引!」狭い車の中は正に戦場のような騒ぎである.「お父さん,しっかりして!」妻の必死の叫びの中でうつろな目がうなずく.
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