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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル25巻1号

1991年01月発行

文献概要

プロクレス

中枢自律神経系の神経伝達物質・1

著者: 前田敏博1

所属機関: 1滋賀医科大学解剖学

ページ範囲:P.49 - P.49

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 1.中枢自律神経系とは

 教科書的に言えば,自律神経系は平滑筋や腺を支配する“自動的”な運動性末梢神経系であり,交感神経系と副交感神経系とに分かたれる.つまり意識的に動かすことができない臓器支配の末梢神経である.とはいえ,これだけで臓器を動かせる訳ではない.まず臓器の状態に応じるためには知覚入力が必要であり,次いで情報を統合して指令する中枢神経系が関与せざるをえない.かくして本来末梢神経系である自律神経系も中枢による統御,調節を強く受けることになり,これを中枢自律神経系と呼ぶ.

 末梢自律神経系(交感・副交感系)は基本的には2個のニューロンから成り立ち,第一(節前)ニューロンは脳幹・脊髄から外に出る.交感神経系は胸腰髄から,副交感神経系は中脳・橋・延髄・仙髄からである.この出力系は知覚入力と合して反射ループを形成する.この情報処理一出力のユニットが脳幹・脊髄実行系である.これに対してより高度な情報を統合処理して下位実行系を調節しているのが視床下部である.視床下部は直接的・間接的に神経性,体液性の情報を得ると同時に,大脳皮質,辺縁系さらに小脳とも相互に連絡して本能,情動,知覚,運動の総合プログラムの中で下位実行系を統御・調節している(図1).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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