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雑誌目次

雑誌文献

理学療法ジャーナル25巻11号

1991年11月発行

雑誌目次

特集Ⅰ 職場運営と業務の見直し

理学療法の職場運営

著者: 山下隆昭

ページ範囲:P.734 - P.738

 Ⅰ.初めに

 理学療法士の役割は,患者・障害者に対してその専門性を生かし,彼らの全人間的復権にあらゆる角度から援助していくことであろう.この行為を円滑に進めるためには,活動の場である病院や施設における職場運営の在りかたが重要なポイントとなる.

 理学療法士が十分にそのもてる能力を発揮し,本来の目的を達成できるよう職場環境を整備することが急務であるが,現実にはそれらを阻害する因子が多々あることも事実である.ここでは,現実の問題点を踏まえて,志向される解決法や努力の方向を探り,在るべき職場作りについて考察を加えてみたい.

QC活動を用いた理学療法業務の見直し

著者: 大内厚 ,   佐藤弘行 ,   赤津安恵美 ,   気仙裕 ,   鈴木正寿

ページ範囲:P.739 - P.744

 Ⅰ.初めに

 近年,医療のハイテク化や人口の高齢化に伴い医療費が増加し,国家財政負担の増大を軽減するため,医療費の抑制が行なわれています.また,疾病構造の変化や患者ニードの多様化,病院の過当競争が起こっています.

 このような時代の中で,病院の運営,経営基盤を確立していくため,経費の縮減や業務の効率化,職員の資質向上を計り,患者サービスの向上を目指していかなければなりません.

 理学療法業務においても,効率的な方法を検討し患者サービスの向上をしていく必要が有ります.

 今回,QCサークル活動を通して,どの様に理学療法業務を見直し改善していったか実践例を交えて述べます.

脳卒中主体のリハビリテーション病院における理学療法業務の見直し

著者: 浅山修 ,   古川真知子 ,   尾花久 ,   露口明宏 ,   一色房幸 ,   兵頭由美

ページ範囲:P.745 - P.751

 Ⅰ.初めに

 超高齢化社会への施策として,国はゴールドプランを高々と謳い上げ,われわれの住む一地方都市の周辺でも,老人保健施設や老人福祉施設などの開設が,現実として目や耳に入るようになってきた.しかし,障害老人のリハビリテーションへの期待は膨む一方であり,リハビリテーション専門病院における入院患者の高齢化,障害の重度化,入院期間の長期化などによる施設化の実態は,今や頂点に達していると言っても過言ではないであろう.

 民間経営のリハビリテーション専門病院である松山リハビリテーション病院(以下,当院と略.)においても例外ではなく,施設化とリハビリテーションへの過大なる期待との板挾みの中で,理学療法業務は多忙を極めている.

 今回,リハビリテーション専門病院における理学療法業務の在りかたを問い質(ただ)すため,当院での理学療法業務,中でも脳卒中に対する運動療法の実態を中心に報告し,われわれなりの考察を加えてみたい.

特集Ⅱ ホームプログラム

ホームプログラムの立てか

著者: 稲坂恵 ,   水落和也 ,   室地敏雄

ページ範囲:P.752 - P.757

 Ⅰ.初めに

 われわれ理学療法士にとって“ホームプログラム”ということばは,馴染みのある身近なものという印象がある.発症から一貫したリハビリテーション医療の中で,病院から退院し,家庭の中で続けられる継続的リハビリテーションに位置付けられるものであり,その必要性,重要性についても広く受け入れられていると思われる.しかし非常に良く使用されるホームプログラムということばについて,その概念・定義がはっきりと規定され,統一されて使用しているかどうかには疑問がある.退院前に為される生活指導やいわゆる自主トレーニングなどとは相違があるのか,誰がどのように行なうのかなど不明な点が多く残されている.

 本稿ではホームプログラムの概念・定義を確定した上で,我が国における現状,効果判定などを文献から考察し,ホームプログラムの考えかた,立てかたなどについて私見を述べることにする.

私のホームプログラムのくふう,考えかた

脳卒中;家庭内の役割を模索し,それを果たすこと

著者: 宮森小春

ページ範囲:P.758 - P.758

 自宅退院を間近に控えた脳卒中患者さんから,「家に帰ってからどんな訓練をすれば良いでしょうか?」とよく質問を受ける.患者さん自ら質問をする場合は,ADL自立度は高く,入院生活中でも歩行距離を伸ばす努力や患側の管理を怠らない人が多い.よって,ことさらにホームプログラムを積極的に指導する必要は無い.必要があれば,当院作成の“脳卒中片麻痺の運動プログラムセレクトカード”なるマニュアルより,その患者さんに適したカードを利用する.独自で行なうホームプログラムは,入院中に病室や運動療法室で患者さんが行なっていた内容であり,十分点検された運動である.

 しかし,このような患者さんの場合はむしろ,家庭内での具体的な役割を設定することがたいせつと考える.女性の場合は,家事動作を分解し,姿勢や動作をくふうすれば,部分的にでもその実行が可能となり,時間さえ保障すれば家事の一部でも役割として得ることができる.一方,男性の場合は,病前から家庭内労働が習慣化されていない人が多く,経験としては,巧みな両手動作や力仕事が主流であるケースがほとんどなので,頭を悩ます.例えば,「お父さんには庭の草むしりをよくやってもらった.またやってね.」と言われると,その患者さんの場合は,いすに腰かけた方がいいか,膝当てを作ってもらって片膝立位のほうがいいかと試みる.

脳性麻痺;ホームマネジメントして家庭内療育へ

著者: 石川孝幸

ページ範囲:P.759 - P.759

 1.初めに

 脳性麻痺の早期療育は,これまでの歴史的過程において,治療手段の導入を顧みるとき神経生理学的治療として,いろいろな方法論をもって追跡されてきている.小児理学療法は,種々の疾患を対象として治療を駆使していくことの役割は重要であるが,とりわけ,中枢神経系疾患,脳性麻痺とのかかわりは,小児理学療法士(チャイルドセラピスト)の重要な課題である.脳性麻痺児の理学療法は,施設入所療育が主体を成してきた.全国的推移からみると,施設内療育から外来通園療育へ,あるいは地域療育へ転換している傾向がみられ,多角的思考が問われている.これらの事柄から,理学療法士は,具体的な療育の実践指導者としていかに母親指導を展開していくのが望ましいのか,当園の状況を小児セラピストの立場から報告する.

骨・関節疾患;股関節疾患患者の場合―入院中の訓練を引き続き家庭で

著者: 永井聡

ページ範囲:P.760 - P.760

 1.初めに

 当院の理学療法分野で扱う骨関節疾患患者は,特に下肢機能障害を有するものでは変形性股関節症・大腿骨頭壊死など股関節疾患患者が多い.今回は,股関節疾患による下肢機能障害に対する理学療法の考えかたについて,ホームプログラムも含めて述べる.

有痛性疾患;肩関節周囲炎を中心に―有痛部位,原因,症状への理解を

著者: 松岡俊哉 ,   立花孝

ページ範囲:P.761 - P.761

 1.初めに

 病院を訪れる患者の訴えはさまざまであるが,整形外科疾患の場合には,痛みを訴えるものがほとんどである.一口に痛みと言ってもその原因は多種多様で,治療はその根本を十分理解して行なうことが要求される.そして,私たち理学療法士も理学療法を遂行する上で,有痛性疾患の患者にホームエクササイズを指導する場合には,その原因が何なのか,どこに痛みが有るのか,炎症性のものなのかどうかということを十分理解した上で行なうことがもっとも重要なことと思われる.

脊髄損傷;自動的・他動的によく体を動かせるよう

著者: 横井克佳

ページ範囲:P.762 - P.762

 1.初めに

 入院した脊髄損傷(以下脊損)患者は,ADLを中心に身体機能の再獲得を行ない,機能的にプラトーに達すると退院する.社会復帰後の日常生活の中で,自然に機能が維持できれば理想的である.しかし,退院後の生活環境はさまざまで,病院と同じような日常生活やケアーの維持は難しい.そこで,不足を補うためにホームプログラムが必要となる.それは,身体機能のうち,日常生活の中では維持できない機能,および二次障害に対し積極的な予防が必要な機能に対して処方され,患者や介助者に指導される.実際には,自立している胸・腰髄損傷レベルの患者が褥創や尿路感染を起こしたり,頸髄損傷では風邪などが基で機能低下を起こし,寝たきりになることがあり,機能維持を主目的としたホームプログラムの重要性を痛感する.

在宅訪問;ホームプログラムの活用原則

著者: 成田友紀

ページ範囲:P.763 - P.763

 1.初めに

 今回,ここで言う「ホームプログラム」とは「理学療法士または在宅身体障害者(以下,ケースと略.),家族が日常生活の一部としてある期間行なう運動,動作訓練」と定義し,ホームプログラムを実施した症例を紹介して,ホームプログラムの活用原則について五年間にわたる在宅訪問の経験から私見を述べてみたい.

とびら

理学療法士として障害者とともに生きる

著者: 今井基次

ページ範囲:P.733 - P.733

 私が大学を受験したのは1969年,安田講堂を占拠した学生を機動隊が排除するという騒ぎで世間の注目を集めた東大全共闘の妄動していたころであった.社会性に乏しかった私は,ただぼんやりと見過ごしていた.当然の結果として大学浪人して,思うように志望大学に入学できずにいた.たまたま脳性麻痺の従姉妹がおり,その関係で理学療法という仕事を初めて知った私は,薄っぺらでセンチメンタルな,生半可な気持ちで理学療法士養成校に入学した.卒業後は虚栄心と名誉欲というコンプッレクスから,アメリカでPNF法の研修を受けたり,夜間大学へ通ったりした.その間,考え深かった同級生が死んでしまったりした.また,私自身も重症な病気になり障害が残るかもしれないと言われた.幸いにも全治したが,障害が残っていたとき,それを受容できず配偶者を悩ましたことを苦々しく思い出す.

入門講座 ADL訓練の実際・5

慢性関節リウマチ患者の起き上がり動作について

著者: 八木範彦 ,   米澤有里 ,   岸本真帆 ,   水口龍次

ページ範囲:P.765 - P.772

 Ⅰ.初めに

 起き上がりは歩行するための最初の動作である.歩行が可能であっても起き上がりができなければ,日常生活動作において,その歩行は何ら価値をもたない.したがって,進行性疾患のために徐々に全身の機能低下を増大させる慢性関節リウマチ(以下,RAと略.)患者において,起き上がり動作を維持させることは非常に重要である.

 しかしながら,RA患者の起き上がり動作に関する報告は数少ない.江口ら1)は動作パターンと関節可動域,筋力,疼痛部位,RA stageなどとの関連性を調査している.長谷川2)は赤外線反射型動作分析システムと筋電計とを用いて動作分析を行ない,関節可動域や筋力が低下するとともに起居動作の自立度も低下し,下肢や体幹の筋力低下の有る症例では下肢の反動などを用いる代償パターンがみられると述べている.また,川西ら3)は,特に頸椎に異常を認めたRA患者の起き上がり動作の指導方法を取り上げ,各肢位では頸椎の中間位を保持し,反動を使わない起き上がりや,疼痛が増悪しない限り両上肢の使用を推奨していると述べている.

 RA患者の起き上がり動作の報告が少ない理由に,立ち上がり動作や歩行と比較して,三次元的な複雑な動作であることや動作パターンが多種多様であることから,その分析が困難を極めることが挙げられる.さらに,RA疾患特有な個人差が大きいことや動作への影響因子が数多く存在することなどが,動作分析をより複雑にしていると考えられる.

 これらのことを踏まえながら,今回,実際に行なっているRA患者の起き上がり動作訓練を紹介し,さらにRA患者の起き上がりの動作パターンの分類や筋電図学的分析を行ない検討したので報告する.

講座 老年医学・5

老年者の精神疾患;特にうつ病について

著者: 青葉安里 ,   諸川由実代

ページ範囲:P.773 - P.777

 Ⅰ.初めに

 抑うつ感情は人間の正常心理の一部と言ってよい.特に,老年期においてはその社会的,身体的要因により老人を容易にうつ病に陥れ,またこれらの諸要因によって,そのうつ病像はさまざまに修飾されることになる.

 例えば,老年期になると,その加齢が生理的,病的を問わず,さまざまな身体機能の衰退が出現してくる.したがって,高齢者のうつ病の発症には身体的要因が大きく関与していること,そして,うつ病に罹病している高齢者は身体的有病性も高く,平均余命も短いことは広く指摘されているところである.高齢うつ病患者におけるこの身体的要因は,その病像に心気的な色彩を与えることになる.

 一方,社会的にみて,老年期は,これまでの人生の成否を自己に問いかけ,独立した子どもたちに,経済的にも精神的にも依存し,また,配偶者や友人と離別していく時期でもある.この社会的要因は,うつ病像に自責的,罪業的といった色彩を強めることになる.

 このように老年期は,人間関係,人生の目的,住居,経済力,健康などといった,これまで確実に自分を支えてきたものを,次々に失っていく時期である.うつ病を『損失体験に対する防衛』と解釈するならば,老年期はまさにうつ病発症のための要因をきわめて多く含んでいる時期と言えよう.したがって,老年期に発病した抑うつ状態,あるいはうつ病に対しては,これらの要因を配慮した特定のマネージメントが必要である.

 本論では,うつ病とはどういう状態を指すのか簡略にふれ,これまでの疫学的研究を基に,老年期のうつ病の出現頻度について述べる.さらに聖マリアンナ医科大学神経精神科にて過去5年間入院治療を受けた患者を年齢別に分け,老年期うつ病の症候論的特徴を明らかにする.また老年期うつ病の治療という観点から,これまで筆者らが行なってきた薬物動態学的な知見から,老年者に比較的使用しやすい抗うつ薬について概述する.最後に,筆者らがこれまで行ってきた老年期のうつ病患者に対する電撃療法の成績について報告する.

TOPICS

広島大学医学部保健学科の構想

著者: 梶原博毅

ページ範囲:P.778 - P.778

 周知のごとく,我が国における医療技術教育は,アメリカと比較して著しく立ち遅れており,急速に発展する医学,医療に即応した資質の高い医療技術者,および教育・研究者の養成は極めて困難な現状である.特に,大学教育の遅れはこの領域の発展を著しく妨げており,その整備が急がれている.

 このような社会的背景を基に,広島大学は当初の医療技術短期大学部構想を四年制大学構想に変更し,1992年度開設を目標に保健学科構想を進めてきた.

プログレス

自己血輸血

著者: 湯浅晋治

ページ範囲:P.779 - P.779

 輸血には種々の検査が行なわれているが,一定のリスクを伴うものである.したがって,輸血はリスクを上回る効果が期待されるかどうかを考慮し,必要な成分のみを最小限に輸血することが重要である.このような同種血のリスクに対し近年,もっとも安全な輸血法として自己血輸血が行なわれるようになってきた.これからは外科手術患者に対する輸血は自己血輸血の適応があるかどうかを考え,積極的に本法を推進することが必要である.

PT最前線

今,何が,どうかを知る―自ら望んで地域・離島に生きる 奥村愛泉氏/<証言>“心のリハ”を受けられた

著者: 本誌編集室 ,   大坪善一

ページ範囲:P.780 - P.781

 長崎県の地盤の沈降によって生まれた入り組んだ海岸線の,わずかな平地と斜面をフルに活用して人々は住んでいる.琴海町立病院は,朝日を受けて一日が始まり,かつ眼下に大村湾を臨む所に建つ.人口およそ11000のこの町に町立病院が在り,特別養護老人ホーム,養護老人ホームが在り,デイサービスも実施されている充実ぶり.しかし,「訪問ヘルパーはいるけど,なかなか家に入れてもらえない保守的な土地」で,どうやって信頼を得,リハビリテーションを根づかせるか?

あんてな

我が国のがんの現状と「対がん10カ年総合戦略」・2

著者: 烏帽子田彰

ページ範囲:P.782 - P.782

 前回,我が国のがんの現状を探り,さらに将来の予測を述べた.さらに今回と次回にわたり「対がん10カ年総合戦略の概要」を述べる.

雑誌レビュー

“Australian Journal of Physiotherapy”(1990年版)まとめ

著者: 山田拓実 ,   山田千鶴子

ページ範囲:P.783 - P.787

 Ⅰ.初めに

 オーストラリア理学療法士協会は年間4回“Australian Journal of Physiotherapy”を発行しており,1990年分は第36巻となる.このレビューではOriginal Articlesに分類されているすべての論文とLeading Articlesの中で今回著者らが興味を抱いた論文を中心に紹介する.ここで取り上げた14編のOriginal Articlesと2編のLeading Articlesとの内訳は,スポーツ関係4編,骨関節疾患(整形外科疾患)の理学療法3編,運動神経生理2編,測定・評価1編,基礎研究1編,呼吸循環の理学療法1編,教育関係1編,物理療法・水治療法2編,管理運営,理学療法業務1編である.なお,文中の[( )]の数字は,論文の掲載号とページを示す.

資料

第26回理学療法士・作業療法士国家試験問題(1991年度) 模範解答と解説・Ⅴ―共通問題(2)

著者: 橋元隆 ,   中山彰一 ,   高橋精一郎 ,   堤文生 ,   高柳清美 ,   山口鞆音 ,   近藤敏 ,   佐藤裕司 ,   高橋智宏

ページ範囲:P.788 - P.790

報告

日常生活動作テストに対する一考察

著者: 大田近雄 ,   白川康彦 ,   椎野泰明 ,   津島隆典

ページ範囲:P.791 - P.795

 Ⅰ.初めに

 日常生活動作とは,日本リハビリテーション医学会評価基準委員会の報告によると「ひとりの人間が独立して生活するために行なう基本的な,しかも,各人ともに共通に毎日繰り返される一連の身体的動作をいう」とされている.しかし具体的な評価については,それぞれの施設で独自の日常生活動作テスト(以下,ADLT.)が作成され実施されているのが実情である.しかしながら,それぞれの施設で作成されたADLTは,テストに関連した場面設定,方法,判定項目,判定基準などがまちまちであり,かつ不明確なため客観性に乏しい内容に留まっていると考える1).一方新しいADLTの研究が進められているが,われわれは厚生省特定疾患神経・筋疾患リハビリテーション調査研究班のADL分科会が報告したADLTをその手引に基づいて実施している.われわれがこのADLTを採用した理由は,動作項目3388種の中から代表的な動作が抽出され,患者の疲労が配慮されて,テスト所要時間も適当であり,手引は誰が実施しても同じ結果が得られることになっており2,3),各動作項目ごとに詳細な判定基準が定めてあるからである.

 当院では1981年より,このADLTを用いている.しかし,これを実施し患者のADL水準を判定する過程において「採点に際し根拠がもてない」,「同一検者が同一患者を再テストしても同じ結果を得る自信が無い」などの意見が出るようになった.このような問題意識から,われわれはより客観的判定を行なうために,複数の検者が一緒に同一患者を三方向よりテストを行なった後に相互に検討を重ね,ADLTの手引のそれぞれの項目の判定基準の解釈と補足・修正とを加えて統一した見解を出した.この論文では.本ADLTを実施してみて,検者間の判定差およびADLT自体と手引の問題点について述べるとともに,われわれがくふうした点についても報告する.

プラクティカル・メモ

コードスイッチを利用したバイオフィードバック装置の試作

著者: 岩井信彦 ,   北川佳永 ,   高崎真由美 ,   浜崎孝正

ページ範囲:P.796 - P.796

 1.初めに

 コードスイッチは加圧導電ゴムを用いた線状感圧センサーで,圧力の刺激に応じ,絶縁状態から導電状態へと急激な抵抗変化を示すスイッチ体である.今回このスイッチを使用し,簡単に作製できるバイオフィードバック装置を試作したので報告する.

1ページ講座 くすりの知識・11

その他・1―呼吸器系に作用する薬

著者: 花山耕三

ページ範囲:P.797 - P.797

 呼吸器系に作用する薬には,鎮咳剤,去痰剤,気管支拡張剤などがある.

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文献抄録

ページ範囲:P.798 - P.799

編集後記

著者: 鶴見隆正

ページ範囲:P.802 - P.802

 高齢者保健福祉推進十カ年戦略(ゴールドプラン)が昨年から実施され,それに伴う理学療法士,作業療法士の大幅な需要が生じたため,「理学療法士及び作業療法士の需給計画の見直しに関する意見書」が8月に公表された.1995年までに理学療法士の年間入学定員を1125名から2800名と倍以上にして,1999年には理学療法士を23800名にするものである.当然,長期展望を視座した卒前・卒後教育の体制作りが緊要となるが,同時に少人数職場とりわけ若い理学療法士の一人職場が急増することは明白だけに,治療技術の研鎖もさることながら職場運営の在りかたが重要となってくる.そこで今月号の特集は「職場運営の見直し」「ホームプログラム」の二本立てとした.

基本情報

理学療法ジャーナル

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1359

印刷版ISSN 0915-0552

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