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日常生活動作テストに対する一考察
著者: 大田近雄1 白川康彦1 椎野泰明1 津島隆典2
所属機関: 1社会保険広島市民病院理学診療科 2三次地区医療センター理学診療科
ページ範囲:P.791 - P.795
文献購入ページに移動日常生活動作とは,日本リハビリテーション医学会評価基準委員会の報告によると「ひとりの人間が独立して生活するために行なう基本的な,しかも,各人ともに共通に毎日繰り返される一連の身体的動作をいう」とされている.しかし具体的な評価については,それぞれの施設で独自の日常生活動作テスト(以下,ADLT.)が作成され実施されているのが実情である.しかしながら,それぞれの施設で作成されたADLTは,テストに関連した場面設定,方法,判定項目,判定基準などがまちまちであり,かつ不明確なため客観性に乏しい内容に留まっていると考える1).一方新しいADLTの研究が進められているが,われわれは厚生省特定疾患神経・筋疾患リハビリテーション調査研究班のADL分科会が報告したADLTをその手引に基づいて実施している.われわれがこのADLTを採用した理由は,動作項目3388種の中から代表的な動作が抽出され,患者の疲労が配慮されて,テスト所要時間も適当であり,手引は誰が実施しても同じ結果が得られることになっており2,3),各動作項目ごとに詳細な判定基準が定めてあるからである.
当院では1981年より,このADLTを用いている.しかし,これを実施し患者のADL水準を判定する過程において「採点に際し根拠がもてない」,「同一検者が同一患者を再テストしても同じ結果を得る自信が無い」などの意見が出るようになった.このような問題意識から,われわれはより客観的判定を行なうために,複数の検者が一緒に同一患者を三方向よりテストを行なった後に相互に検討を重ね,ADLTの手引のそれぞれの項目の判定基準の解釈と補足・修正とを加えて統一した見解を出した.この論文では.本ADLTを実施してみて,検者間の判定差およびADLT自体と手引の問題点について述べるとともに,われわれがくふうした点についても報告する.
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