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特集 体幹機能
老人の姿勢と体幹機能
著者: 勝田治己1 古川良三1
所属機関: 1愛知医科大学附属病院中央リハビリテーション部
ページ範囲:P.82 - P.87
文献購入ページに移動われわれは相手の顔がはっきり確認できなくても,その姿勢や体型をみただけで30代の青年と70代の老人とをまちがえることは無く,また日ごろ見慣れた人であればその相手を特定できるほどである.すなわち姿勢は身体的要素と精神的要素とから成る全人間的なもので,多数の因子が複雑にからみ合い,相互に作用した結果の総合的な人の態様である.また人の姿勢は重力と抗重力筋との闘いの結果であり,それぞれの個体や環境因子が異なる限り,現れた結果も各個人特有の形態をとり,その多様性は人の顔が一人一人異なっていることにもたとえられるほどである.
このように姿勢に関与する因子は多数あるが,なかでもその主軸を担うのは脊柱であり,その脊柱は数十年間重力ストレスにさらされた後,老化現象とも言うべき変形を生じ,いわゆる老人姿勢を呈するようになる.ではその老人姿勢とはどういうものであろうか,ここでは姿勢の基礎としての脊柱のバイオメカニクス,加齢による姿勢の変化,老人の姿勢,そして骨粗鬆症や脊椎圧迫骨折などに起因する老人の姿勢異常などについて述べたい.
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