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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル25巻2号

1991年02月発行

文献概要

特集 体幹機能

片麻痺の体幹機能

著者: 冨田昌夫1 佐藤房郎1 宇野潤1 相馬光一1 北村啓1 江原義弘2 別府政敏2 野村進2 国見ゆみ子2 安藤徳彦1

所属機関: 1神奈川リハビリテーション病院 2神奈川県総合リハビリテーション研究

ページ範囲:P.88 - P.94

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 Ⅰ.初めに

 片麻痺の治療に際して,“どうして”と考え込んでしまう現象があまりにも多すぎる.例えば端坐位で骨盤を直立し,体幹を伸展位に保持できる患者がいざ動こうとすると骨盤を後傾し体幹を屈曲してしまい,立ち上がったり,体重を左右に移動するとき骨盤の前傾,体幹の伸展が引き出しにくいことは誰しも体験することであろう.さらに不思議なことには,坐位で健側へ体重を移動するとき患側体幹筋を活動させて立ち直ることができる患者でも,患側へ体重を移動したときには体幹を健側へ側屈させて立ち直る動作をしない場合が少なくない.口頭で指示を与えれば側屈可能であるので,当然のことながら健側の体幹側屈筋群の働きが無いわけではない.それが反応として起こらないのである.

 端坐位で骨盤を後傾し,円背となりあたかも筋活動が少なくて重力で押しつぶされたように見える患者が,動こうと構えた瞬間に,頸部や胸郭の体幹屈筋群および健側下肢の筋活動が過剰になりやすい.このような患者の体幹を他動的に動かそうとすると体幹と健側下肢とが一つの塊となって動いてしまうこと,そのとき下肢の力を抜きにくいことなどはなかなか理解しにくい現象ではなかろうか.

 これら一見関連の無いようにみえるさまざまな症状も,片麻痺の平衡反応の特異性からみていくと共通した点が多くなる.現在われわれが進めている実験結果を引用し,片麻痺の運動の特徴と運動療法に関して述べていく.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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