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原著
等尺性収縮度の変化および対側等尺性収縮におけるF波の検討
著者: 鈴木俊明1 武田功1 藤原哲司1
所属機関: 1京部大学医療技術短期大学部
ページ範囲:P.125 - P.128
文献購入ページに移動F波は1950年,Magladeryら1)により多シナプス反射波として報告された.その後Dawsonら2)は,recurrent dischargeによるものと報告し,McLeodら3)は後根を切除してもF波が出現すること,またTronteljら4)は純粋な運動神経である顔面神経からもF波が出現することを報告した.現在では,一般に運動神経を逆行したインパルスが脊髄前角を経て再び運動神経に戻り支配領域の筋肉から導出されるものと考えられている.
臨床的には,F波の立ち上がり潜時から運動神経近位部の伝導速度を測定すること5)や,近年では中枢神経障害時,特に錐体路障害時には出現頻度,振幅の増加することが報告されている6).また,糖尿病患者7)など末梢神経障害時にも応用されている.
筆者らは,以前に安静時F波の基礎的研究,正常人におけるF波の特性(安静時および収縮時での比較)について検討し,F波の出現頻度および頂点間振幅は収縮時に有意の増大を認め,位相数も増大する傾向のあることを報告した8).本報では,F波を導出する筋の収縮度をさらに軽度から高度の4段階に変化させた場合および対側に等尺性収縮を行なわせた場合についてF波と脊髄運動ニューロンプールにかかわる神経機能を定量的に分析した.
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