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文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル25巻4号

1991年04月発行

文献概要

講座 姿勢・4

予測的姿勢制御

著者: 藤原勝夫1

所属機関: 1金沢大学教養部

ページ範囲:P.265 - P.272

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 Ⅰ.予測的姿勢制御について

 姿勢制御に関する研究は,Magnus1)以来長い間大脳皮質などの上位脳の機能を除外する方向で為され,主に脳幹を介する姿勢反射に焦点が当てられてきた.最近では,これまでに得られた皮質下中枢の機能に関する知識を踏まえて,大脳皮質の姿勢制御における役割を窮める必要性が打ち出され,その統御下におかれた姿勢制御に関する研究が進められている2,3)

 中枢神経は階層構造を有し,その中で大脳皮質はもっとも上位に位置し,随意運動の神経機構を与える場合の構造的対件とされる.このことからすると,大脳皮質が関与する姿勢制御は,随意的姿勢制御として取り扱う必要があるように思われる.発達という観点では,運動機能が反射運動から随意運動へ変化するというみかたがあるように,姿勢制御の発達を姿勢反射から随意的姿勢制御への変化,あるいは平衡機能の獲得というようにとらえることができるように思われる.これは,制御の中心となる脳が,下位脳から大脳皮質などの上位脳へ移ることを意味していると考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

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