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雑誌目次

雑誌文献

理学療法ジャーナル25巻5号

1991年05月発行

雑誌目次

特集 整形外科疾患の理学療法

大腿四頭筋筋力増強の方法論―反復訓練方法の重要性

著者: 岡西哲夫

ページ範囲:P.306 - P.311

 Ⅰ.初めに

 整形外科的疾患における筋力増強訓練の重要性は,つねに強調されるところである.特に膝関節疾患との関連において,大腿四頭筋訓練の重要性については多くの人の認めるところとなっている.しかし,訓練の効果を如何にあげたらよいかについては,まだまだ明確な答えは出ていないようである.そこで今回は,大腿四頭筋訓練の効果的な方法について検討する.まず,筋力と筋持久力の概念と意義について概観し,膝関節疾患別に適用を述べる.次に,われわれの実施している反復訓練法について紹介し,その効果の意義を患者教育や筋力増強の理論から述べる.さらに,荷重下でのいわゆるclosed kinetic chainを利用した方法についても,併せて検討する.

頸椎病変により脊髄症状を呈する慢性関節リウマチの理学療法

著者: 阿部好子 ,   横島由紀 ,   室地敏雄

ページ範囲:P.312 - P.318

 Ⅰ.初めに

 慢性関節リウマチ(以下,RAと略.)は,四肢の諸関節ばかりでなく頸椎を侵すことも多い.頸椎病変の頻度については,報告者により異なるが1~5),RA患者の25~30%と考えられており,頸椎の破壊が進行すると,脊髄症状や突然死をきたす原因となる.後頭部痛や項頸部痛などの疼痛に対しては,保存療法として消炎鎮痛剤,頸椎カラーや頸部固定装具が用いられる.疼痛に対しては多くの場合,保存療法で十分対応できるが,脊髄症状が出現すると手術的治療が必要である.

 今回は,RAの頸椎病変に対する保存的療法として装具療法を紹介するとともに,RA頸椎病変による脊髄症状で,頸椎に手術的治療を施行した患者の理学療法と術後成績について報告する.

腰痛患者に対する教育的アプローチ

著者: 辛島修二 ,   野原和彦 ,   田中昌代 ,   山口昌夫 ,   勝木道夫

ページ範囲:P.319 - P.324

 Ⅰ.初めに

 本邦では,腰痛患者に対する理学療法は,牽引・温熱・電気治療などの物理療法と腰痛体操などの運動療法が一般的に主流であり,腰痛の予防や再発予防に対する教育的アプローチはあまり普及していない.しかし,誤った姿勢や生活様式が腰痛発生の原因となっていることが多く,その自己管理による腰痛の予防,再発予防が腰痛発生後の治療と同等に重要である.欧米では1960年代後半からForsell1)やFahrni2)らにより腰痛患者に対する教育的アプローチ;Back school(以下,腰痛教室と呼ぶ.)が開設され,理学療法士の間に広く普及している.本邦でも日本大学,慶応大学などで実施されており,その効果が報告されている3~6)が,腰痛教室の具体的内容や教育方法について説明されている文献は少ない.

 当院でもその必要性を感じ.筆者が米国において卒後教育コース(Back school of Atlanta)を受講したのを契機に1989年2月から腰痛教室を開催している7).今回はその内容,経過について具体的に紹介する.

大腿骨頸部骨折患者の退院時ゴール設定

著者: 吉成俊二 ,   上原結花 ,   伊藤真奈美

ページ範囲:P.325 - P.329

 Ⅰ.初めに

 高齢化社会が急速に進む我が国では,老人に多い大腿骨頸部骨折が運動器疾患による寝たきり老人の中で多くを占めている.近年,本疾患では積極的な手術的治療が行なわれ,早期訓練,早期離床を計り,術後合併症の予防や,寝たきり防止に努められている1~3).しかし,高齢者では術前からの合併症も多くみられ,理学療法施行の際に難渋する場合がある.また,再獲得された歩行能力やADL動作が退院後維持されずしだいに低下し,寝たきりになる症例も少なくない.

 今回われわれは,大腿骨頸部骨折患者の退院後の追跡調査を行ない,若干の知見を得た.そして,それらを考慮した術前,術後の理学療法プログラムとその注意点を述べるとともに,退院時のゴール設定について報告する.

骨悪性腫瘍の患肢温存手術前後の理学療法

著者: 河村廣幸 ,   浅野聡 ,   淵岡聡 ,   時政昭次 ,   井上悟 ,   米田稔彦 ,   林義孝 ,   内田淳正 ,   小野啓郎

ページ範囲:P.330 - P.334

 Ⅰ.初めに

 近年,悪性骨腫瘍の外科的治療は切断手術より,患肢温存手術が主流となりつつある1).下肢における患肢温存手術(特に膝関節周囲原発例)は,切断手術と比べ日常生活動作の上での機能や歩行時のエネルギー効率も遜色無く2,3),患肢が温存されることは心理面でも好影響を与えている.さらに正しい適応の下に,患肢を温存することは生命予後に悪影響を及ぽすことは無い.このように患肢温存手術症例が増加するにつれて,より良い機能が望まれるようになり,そのため理学療法への期待が高まるようになった.

 しかしながら,切断手術後の理学療法の報告に比べ4),患肢温存手術前後について系統立てて報告しているものはほとんどみられない5).そこで今回は膝関節周囲例を中心に,股関節周囲例を含めた下肢の患肢温存術前後の理学療法について報告する.

とびら

苦情の中にヒントあり

著者: 岩田章史

ページ範囲:P.305 - P.305

 今日たいていの企業には,顧客や消費者からの苦情を受け付ける係が置かれている.当然楽しい仕事内容ではないので,誰もが担当するのを嫌がる部署である.しかしある会社では,経営者自らが苦情の電話を受けているという.その理由は「苦情の中にこそ,新しい商売のヒントがあるから」だそうである.この話を聴いたときには,「奇特な人もいるものだ」と軽く聞き流していた.

 さてある日,当理学療法部に,歩行能力の改善を目標として慢性関筋リウマチ(RA)の患者さんが来られた.下肢の筋力その他の状況から,実用歩行獲得のためには杖が必要と判断した.手指の変形もあったので,それまで数回作ったことのある,松葉杖の腋窩支持部にプラスチックのスプリントを固定した,前腕支持型のものを作ることにした.慣れない手つきでの数時間の夜鍋仕事の末どうにか完成し,翌日患者さんに杖を渡した.ところが「重くて肘が痛くなる」と意外な答が返ってきた.「人が苦労して作ったのに」という気持を抑えて,「何とか考えてみましょう」と返事だけしておいた.

入門講座 歩行・5

神経難病の歩行

著者: 増田国男

ページ範囲:P.335 - P.339

 Ⅰ.初めに

 神経難病の歩行というとかなり大きなテーマである.神経難病といってもさまざまな疾患が有り,歩行障害とその原因も一様ではないからである.今回は,神経難病の中でも代表的な脊髄小脳変性症とParkinson病の歩行について取り上げる.どちらも原因が不明の神経系変性疾患であり,慢性・進行性の経過をたどる.したがって,障害の進行をできる限り遅らせ,可能な限り有意義な生活を維持することがリハビリテーションの目的となる.特に歩行を含む移動能力は日常生活の基本であり,移動能力が障害の進行を左右すると言っても過言ではない.

 本稿では疾患とその経過,運動障害,進行に伴う歩行の変化と臨床面での評価および訓練のポイントについて述べる.

講座 姿勢・5

歩行時の姿勢制御

著者: 大久保仁

ページ範囲:P.341 - P.346

 人が手で物を持ったり,手の動作を繰り返すことから二本足立ちが完成した.この結果は,四足歩行が二足歩行となり,脊髄が物理的に強固な頭部を支える支柱的役割を果たして二足歩行が現在の姿で残っている.すなわち,この二足歩行が遂行されるためには,静的姿勢反射や動的姿勢反射が合目的に組み合わされて歩行時の姿勢制御が行なわれる.そこで,歩行の検査や姿勢制御の研究を歴史的にみると,二本足立ちの生理的研究は,人の他に代わるものが無いので,歩きかたの研究に端を発して,整形外科学的研究の歩容を主としたものが大部分である.しかし,歩行は,人が他の動物と異なって行動するときの基本的姿勢反射である.この歩行を観察していると,歩行のバランスがoff-balanceであるにもかかわらず安定を保っており,これらの神経生理学的調節がどのように行なわれるか,興味がもたれる.そこで,幼小児からの歩行の発達について考えてみる.

書評

『筋ジストロフィーはここまでわかった;厚生省研究班20年の歩み』―筋ジストロフィー症研究連絡協議会編

著者: 荒木淑郎

ページ範囲:P.346 - P.346

 我が国初の大型な学際的プロジェクト

 1968年に発足した厚生省特別研究費補助金によるミオパチー研究班(班長:沖中重雄先生)は,我が国での初めての大型な学際的なプロジェクトであり,その班研究方式は,1973年に発足した特定疾患(難病)調査研究班の先駆的なモデルとなったことは周知のとおりである.

 また現在の筋ジストロフィー対策は,1963年3月に「親の会」(現在の日本筋ジストロフィー協会)が,時の厚生大臣および医務局長に陳情し,直ちに「進行性筋萎縮症対策要綱」が策定されたことにより始まったものである.これを受けて国は,筋ジストロフィー患者の入院中の療育費用を負担し,地区の国立療養所は大学機関と連携して患者を収容し,学齢期の患者に教育の機会を与え,積極的にリハビリテーションを行ない,世界でも類をみない包括的な医療が展開されたのである.

『精神を病むということ』―前松沢病院院長 秋元波留夫 東京大学教授 上田敏著

著者: 木村敏

ページ範囲:P.354 - P.354

 本書は,我が国の精神医学の最長老である秋元波留夫氏に,リハビリテーション医学の椎威である上田敏氏が,精神医学の過去・現在・未来について質問し,秋元氏がこれに答えるという形式で書かれている.対談であるから非常に読みやすく,しかも要所要所では秋元氏が後から丹念に筆を入れて,学問的にも正確な内容が述べられている.

 すでに4半世紀前に東京大学教授を定年退官された秋元氏が,その後も臨床の第一線に立って,精神医療,特にリハビリテーション精神医学の向上に努められただけではなく,何よりもまず,精神を病む患者とその家族に対する社会的偏見の除去に向けて現在もなお余人をもって代え難い貢献を続けておられることに,私は日ごろから深い感銘を受けている.この感銘は,本書を一読してますます強いものとなった.

プログレス

しびれ

著者: 龍浩志

ページ範囲:P.347 - P.347

 一般に「しびれ」と言うと①知覚麻痺,②異常知覚,③運動麻痺,の三種類の異常状態のどれをも意味している.患者の訴えを聞く場合には,このことを念頭に置いて注意して診断に当たらなければならない.ここでは「運動麻痺」については割愛させてもらい,主に知覚麻痺と異常知覚(特に後者)について解説する.

PT最前線

巨人軍の新戦力は‘新鮮力’―若手の育つのが楽しみなトレーナー 神谷成仁氏/<証言>プロスポーツ界で必要とされる存在

著者: 本誌編集室 ,   吉村禎章

ページ範囲:P.348 - P.349

 日本唯一の理学療法士でプロのトレーナーが巨人軍第三軍医療部に存在する.「若手の有能な人を引き抜いたんですけど、うちにはぜひ必要な人でしたから…….病院には申し訳無いけど.」と吉村選手をして言わしめ北九州生まれの30歳,神谷成仁氏.高校時代は水泳部に属していたスポーツマン.国立療養所東京病院附属リハビリテーション学院の19期生で,トレーナーの道を探っていたが、学院での田口順子氏の講義に魅せられ田口氏の下へ…….

あんてな

第28回日本リハビリテーション医学会の視点

著者: 米本恭三

ページ範囲:P.350 - P.350

 1991年はイラクのクウェート進攻に始まり,世界にとって正に激動の年と言えよう.このたびの学術集会はそのような情勢の中にあって,“21世紀へ向け転換期に立つリハビリテーション”をテーマとし,リハビリテーションにおけるさまざまな問題について語り合い,実のある集合になることを期待している.

 会期は1992年5月31日(金),6月1日(土),6月2日(日)の3日間,東京虎の門の国立教育会館を主会場とし,霞が関ビルB1(プラザホール),新霞が関ビルをともに使用して開催される.

報告

胸部外科手術後の0歳児に対する呼吸器理学療法の経験

著者: 須釜聡 ,   前田真一 ,   三秋泰一 ,   佐野正和 ,   岸谷都 ,   立野勝彦 ,   染矢富士子

ページ範囲:P.351 - P.354

 Ⅰ.初めに

 近年,我が国においても呼吸器理学療法が一般的に行なわれるようになってきた.その効果について,成人に関しての報告はあるものの1,2),0歳児についての報告はきわめて少ない.今回われわれは,胸部外科手術後の0歳児2症例について呼吸器理学療法を経験したので報告する.

頸髄損傷四肢麻痺における機能レベルと移動・移乗能力との関係

著者: 水上昌文

ページ範囲:P.359 - P.364

 Ⅰ.緒言

 我が国における頸髄損傷の発生率は産業構造,社会形態の変化により年々増加の傾向にある.この頸髄損傷により引き起こされる四肢麻痺という障害は,胸腰髄損傷と異なり一髄節の違いにより残存機能に大きな差が生ずることは言うまでも無いことである.この損傷高位(以下,機能評価により得られた結果より判定するため機能レベルと略.)とADLとの関係については多くの報告が有り1-7),教科書的に用いられてはいるものの最近の技術の進歩により実情に合わなくなってきているものが多い.しかもそれらは皆一髄節ごとの機能レベルに沿ったものである.頸髄損傷では,この一髄節の範囲内でも大きな機能差があり,特にC6レベルにおいて顕著である.この一髄節の中での機能の差を上肢の残存機能から評価し細分類する方法が諸家の報告にみられるが,中でもZancolli(1976)の分類は現在世界的にももっとも一般的に用いられているものである.表1はその原表よりの抜粋である.この解釈については国内各施間でばらつきがみられるが,われわれはStrong,with,CompleteをMMTでFair以上と解釈し分類を行なった.

 今回われわれはこのZancolliの分類に沿って,頸髄損傷者の機能レベルと移動・移乗能力との関係を明らかにしレベルごとの目標を設定するため,頸髄完全損傷者96名の移動・移乗動作の達成率を調査した.本論ではその結果を述べるとともに,もっとも幅広い機能を有しADLの自立か否かの境界となることが予想され,頸髄損傷者全体の中でもその比率ががもっとも高いC6レベルを中心に移動・移乗の方法に関する私見を述べる.

症例報告

広背筋移行による肘屈筋形成術後の理学療法

著者: 金井章 ,   岩月宏泰 ,   木山喬博 ,   千葉晃泰 ,   猪田邦雄

ページ範囲:P.355 - P.357

 Ⅰ.初めに

 腕神経叢麻痺で生じた肘屈曲障害に対して種々の筋腱移行による肘屈筋形成術が施行されている.そのうち,前腕屈筋群の起始部を中枢へ移行するSteindler法は肘関節の屈曲障害と回内拘縮とが残存しやすく,また,大胸筋を移行するClark法,Brooks-Seddon法は再建筋の筋力が得られにくい欠点がある.

 一方,Schottstaedt(1955),Zancolli(1973)らによる,広背筋の中枢側と末梢側とを切り離し上腕へ移行する肘屈筋再建術(bipolar transfer)は再建筋の筋力も得やすく,肘屈曲拘縮,前腕回内拘縮も少ない1,2)

 今回,広背筋移行術が施行された症例の理学療法を経験し,術後15か月経過時の再建筋の機能を筋電図学的に検討したので報告する.

PTのひろば

弘前大学医療技術短期大学部で社会人特別選抜が実施される/理学療法の境界線を越えて

著者: 對馬均 ,   田原清子

ページ範囲:P.358 - P.358

 弘前大学医療技術短期大学部では,1990年度入試に当たり,全国に先駆けて理学療法学科において社会人特別選抜を行なった.これは,入学定員20名のうち4名程度を一般入試とは別の日程・方法で選抜するものである.初年度であることや,募集から試験実施までの期間が短かったため応募者数の点で危惧されたが,青森県内外から11名の応募者があり,選抜の結果4名が合格した.現在この4名は一般入試台格者とともに勉学に励んでいる.

 この社会人特別選抜の概略を1990年度の例でみると,①出願資格は大学入学資格を有する1990年4月1日現在21歳以上の社会人で,②選抜は学力検査,調査書,面接および健康診断の結果を総合して行なわれ,③選抜日は1989年12月11日(月),④12月21日付けで受験者に選考結果を通知するというものである.学力検査は基礎的知識を確認することをねらいとしており,数学,英語,小論文の筆記試験が行なわれた.受験者11名についてみると,年齢21歳から30歳,職業は病院・施設勤務者だけでなく,会社員,ホテルマン,団体職員など多種多様であり,四年制大学卒業者が2名含まれていた.

1ページ講座 くすりの知識・5

神経系に作用する薬・3 向自律神経剤,抗うつ剤,メジャートランキライザー

著者: 正門由久

ページ範囲:P.365 - P.365

 1.向自律神経剤

 自律神経は交感神経と副交感神経の二系統より構成され,それぞれの系が拮抗,協調することにより,血圧,呼吸,排泄などの重要な機能を調節している.

 向自律神経剤を作用機序に従って分類すると,交感神経,副交感神経のそれぞれ刺激剤,抑制剤に分類される.

クリニカル・ヒント

光化(力)学治療の効果

著者: 坂口進至

ページ範囲:P.366 - P.367

 1.初めに

 1991年,今年のキーワードは,高齢化,健康,ソーラーエネルギーのようである.

 われわれの担当する理学療法は,前二者には,大きなかかわりがあることに,すぐに気が付くのだが,ソーラーエネルギーと,どうも直接関係無いようだと思っていた.その矢先,お正月休みで元旦からゆっくりとTVを見ていて偶然,光エネルギーであるレーザーの生みの親,Townes CHの番組を見る機会があり,どうもこれが三つ目のキーワードだと気付いた.そして,今後リハビリテーション分野でも注目を集めるであろう低出力レーザーによるphoto dynamic therapy(光化(力)学治療)の臨床的応用について紹介する動機となった.

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あなたのイラスト

著者: 胡桃みるく

ページ範囲:P.329 - P.329

あなたのイラスト

著者: 胡桃みるく

ページ範囲:P.339 - P.339

文献抄録

ページ範囲:P.368 - P.369

編集後記

著者: 安藤徳彦

ページ範囲:P.372 - P.372

 五月の薫風とともに新しい号を読者に送る.今回の特集は整形外科疾患の理学療法を,昨年の理学療法学会の報告者から,執筆をお願いした.日常治療に役だつ臨床的な研究成果を中心に,具体的・啓蒙的な内容の執筆を依頼した.

 岡西氏は大腿四頭筋訓練について反復訓練・筋疲労・荷重下での訓練を述べてくださった.多くの疾患に有用な内容である.阿部氏はRAの頸椎病変に対する術前術後の訓練方法と成績を詳述してくださった.文調は硬いが豊かな内容を読み取っていただきたい.辛島氏の腰痛教室の説明は,内容がきわめて具体的である.吉成氏には,頸部骨折患者に実際の生活に即した訓練計画を提示していただいた.健側上下肢の筋力強化の必要性,早期離床と歩行実現成果との関係検討,脳血管障害合併例の吟味などの議論を今後に期待したい.河村氏の骨悪性腫瘍の下肢温存手術に対する理学療法は,高い内容を理解しやすく解説してくださった.

基本情報

理学療法ジャーナル

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1359

印刷版ISSN 0915-0552

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