icon fsr

文献詳細

雑誌文献

理学療法ジャーナル25巻5号

1991年05月発行

文献概要

とびら

苦情の中にヒントあり

著者: 岩田章史1

所属機関: 1島根医科大学附属病院理学療法部

ページ範囲:P.305 - P.305

文献購入ページに移動
 今日たいていの企業には,顧客や消費者からの苦情を受け付ける係が置かれている.当然楽しい仕事内容ではないので,誰もが担当するのを嫌がる部署である.しかしある会社では,経営者自らが苦情の電話を受けているという.その理由は「苦情の中にこそ,新しい商売のヒントがあるから」だそうである.この話を聴いたときには,「奇特な人もいるものだ」と軽く聞き流していた.

 さてある日,当理学療法部に,歩行能力の改善を目標として慢性関筋リウマチ(RA)の患者さんが来られた.下肢の筋力その他の状況から,実用歩行獲得のためには杖が必要と判断した.手指の変形もあったので,それまで数回作ったことのある,松葉杖の腋窩支持部にプラスチックのスプリントを固定した,前腕支持型のものを作ることにした.慣れない手つきでの数時間の夜鍋仕事の末どうにか完成し,翌日患者さんに杖を渡した.ところが「重くて肘が痛くなる」と意外な答が返ってきた.「人が苦労して作ったのに」という気持を抑えて,「何とか考えてみましょう」と返事だけしておいた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1359

印刷版ISSN:0915-0552

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?