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講座 姿勢・5
歩行時の姿勢制御
著者: 大久保仁1
所属機関: 1東京医科歯科大学医学部耳鼻咽喉科
ページ範囲:P.341 - P.346
文献購入ページに移動 人が手で物を持ったり,手の動作を繰り返すことから二本足立ちが完成した.この結果は,四足歩行が二足歩行となり,脊髄が物理的に強固な頭部を支える支柱的役割を果たして二足歩行が現在の姿で残っている.すなわち,この二足歩行が遂行されるためには,静的姿勢反射や動的姿勢反射が合目的に組み合わされて歩行時の姿勢制御が行なわれる.そこで,歩行の検査や姿勢制御の研究を歴史的にみると,二本足立ちの生理的研究は,人の他に代わるものが無いので,歩きかたの研究に端を発して,整形外科学的研究の歩容を主としたものが大部分である.しかし,歩行は,人が他の動物と異なって行動するときの基本的姿勢反射である.この歩行を観察していると,歩行のバランスがoff-balanceであるにもかかわらず安定を保っており,これらの神経生理学的調節がどのように行なわれるか,興味がもたれる.そこで,幼小児からの歩行の発達について考えてみる.
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