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クリニカル・ヒント
頸髄における高位診断について
著者: 浅山章1 山岡賢兒2 清家隆介3
所属機関: 1国立療養所愛媛病院 2山岡整形外形医院 3国立療養所南愛媛病院
ページ範囲:P.499 - P.500
文献購入ページに移動日ごろ頸髄損傷患者の運動療法,退院後のフォローに携わっていると,あまり疑問も興味もわいてこない.少なくとも筆者はそうである.それどころか浮かんでくるのは,長期化,おしっこ,褥瘡,車いす,お金,等々やっかいなことばかりである.(仕事に対する姿勢は抜きにして.)
ところが,まれに来る中心性損傷や完全麻痺に至っていない頸椎症性脊髄症だと興味がわいてくる.腱反射は?筋力は?知覚は?最初どこがしびれましたか?いったいどこが真の責任高位なのか?
つい最近のC5/C6前方固定術後の患者は,発症時四肢麻痺,まったく動かずの症状が,主に手指が使えない症状(C7,C8髄節)へ改善.下肢にも痙性麻痺が残るものの立ち上がり,階段,独歩ももちろん可能である.一はたしてC7,8の髄節は第5,第6頸椎間にあると言えるのか?
神経学的高位診断を複雑にする因子はもちろんたくさん有るであろうし,理論上区別し難い神経学的所見もあろう.しかし高齢者頸椎症性脊髄症の場合においても,仮に脊髄造影像で多椎間病変が認められても真の責任高位はすべての椎間であるとは言えず,発症の引き金となった椎間は1椎間の可能性が高いわけであり,いかに責任高位決定をするか興味のわくところである.
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